次の記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問において 「法」 という。) の規定によれば、正しい内容のものはどれか。(平成20年・問30)

１　Ｘは、甲県で行われた宅地建物取引主任者資格試験に合格した後、乙県に転居した。その後、登録実務講習を修了したので、乙県知事に対し法第１８条第１項の登録を申請した。

２　Ｙは、甲県知事から宅地建物取引主任者証 (以下 「主任者証」 という。) の交付を受けている。Ｙは、乙県での勤務を契機に乙県に取引主任者の登録の移転をしたが、甲県知事の主任者証の有効期間が満了していなかったので、その主任者証を用いて取引主任者としてすべき事務を行った。

３　Ａ社 (国土交通大臣免許) は、甲県に本店、乙県に支店を設置しているが、乙県の支店を廃止し、本店を含むすべての事務所を甲県内にのみ設置して事業を営むこととし、甲県知事へ免許換えの申請を行った。

４　Ｂ社 (甲県知事免許) は、甲県の事務所を廃上し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営むため、甲県知事へ廃業の届けを行うとともに、乙県知事へ免許換えの申請を行った。

１　Ｘは、甲県で行われた宅地建物取引主任者資格試験に合格した後、乙県に転居した。その後、登録実務講習を修了したので、乙県知事に対し法第１８条第１項の登録を申請した。

【正解：×】昭和63年・問37・肢１，

◆登録は試験に合格した都道府県知事に申請する

　取引主任者の資格登録は，宅建試験に合格した都道府県の知事に対して行う(宅建業法18条１項)。

　本肢では，Ｘは，甲県で行われた宅建試験に合格しているので，甲県知事にのみ，登録を申請することができる。他の都道府県知事には申請できない。

２　Ｙは、甲県知事から宅地建物取引主任者証 (以下 「主任者証」 という。) の交付を受けている。Ｙは、乙県での勤務を契機に乙県に取引主任者の登録の移転をしたが、甲県知事の主任者証の有効期間が満了していなかったので、その主任者証を用いて取引主任者としてすべき事務を行った。

【正解：×】平成元年・問40・肢４，平成13年・問32・肢４，

◆登録の移転があった時点で，移転前の主任者証は効力を失う

　登録の移転前の主任者証は，登録の移転があった時点で，移転前の主任者証は効力を失う(宅建業法22条の２第４項)。

　移転前の主任者証〔失効している〕を用いて，取引主任者証の事務を行うことはできない。

３　Ａ社 (国土交通大臣免許) は、甲県に本店、乙県に支店を設置しているが、乙県の支店を廃止し、本店を含むすべての事務所を甲県内にのみ設置して事業を営むこととし、甲県知事へ免許換えの申請を行った。

【正解：○】平成６年・問38・肢３，

◆知事免許への免許換えは，直接行う

　知事免許への免許換えは，主たる事務所を置く予定の都道府県を管轄する知事に直接，申請する。このことは，国土交通大臣免許業者が知事免許に免許換えする場合も同じである(宅建業法７条１項１号)。

　本肢の場合，Ａ社は，甲県知事に免許換えを申請する。

４　Ｂ社 (甲県知事免許) は、甲県の事務所を廃上し、乙県内で新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営むため、甲県知事へ廃業の届けを行うとともに、乙県知事へ免許換えの申請を行った。

【正解：×】平成10年・問33・肢１，平成15年・問32・肢１，

◆免許換えをするのに，廃業の届出は不要

　免許換えをするのに，廃業の届出をする必要はない。
　本肢の場合，Ｂ社は，乙県知事に，免許換えの申請をするだけでよい(宅建業法７条１項２号)。

▼甲県知事から交付されたＢ社の免許証〔従前の免許証〕は，免許換えにより乙県知事の免許を受けた時点で，その効力を失う。従前の免許の失効後，Ｂ社は，甲県知事に従前の免許証を返納しなければならない(施行規則４条の４第１項１号)。
　なお，免許換えに伴う従前の免許証の返納期限については，特に定められていない。