宅建過去問 宅建業法
クーリングオフの過去問アーカイブス 平成20年・問39
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主との間で締結した宅地の売買契約について、買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成20年・問39) |
1 買主Bは自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Bは、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。 |
2 買主Cは喫茶店において買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Cは、当該契約の締結をした日の10日後においては、契約の解除をすることができない。 |
3 買主Dはレストランにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Dは、当該契約の締結をした日の5日後においては、書面を発しなくても契約の解除をすることができる。 |
4 買主Eはホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Eは、当該宅地の代金の80%を支払っていたが、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。 |
<コメント> |
●出題論点● |
肢1 買主自らの申出により自宅や勤務先で買受けの申込みをしたときは,くーリングオフできない
肢2 クーリング・オフについて書面を交付して告げられていないときは,原則として,いつでもクーリングオフできる 肢3 クーリングオフの効力は,その旨の書面を発したときに生じる 肢4 引渡しを受け,かつ,代金全額を支払うと,クーリングオフできない |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
正答率 | 85.3% |
1 買主Bは自らの希望により勤務先で売買契約に関する説明を受けて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Bは、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。 |
【正解:×】 ◆買主自らの申出により,買主の自宅,勤務先で買受けの申込みをしたとき 買主本人の申出により,買主の自宅や勤務先で買受けの申込みをして契約を締結したとき,その場合の自宅や勤務先は,クーリングオフのできない場所として,国土交通省令で定められています(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の5第2号)。 したがって,クーリング・オフについて,文書も交付されず,何も告げられずに契約を締結したとしても,本肢の場合,買主Bはクーリングオフの規定による契約解除をすることはできません。 |
2 買主Cは喫茶店において買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて何も告げられずに契約を締結した。この場合、Cは、当該契約の締結をした日の10日後においては、契約の解除をすることができない。 |
【正解:×】 ◆クーリングオフについて何も告げられていないとき クーリングオフできる場所で買受けの申し込みをした場合に,クーリング・オフについて,文書も交付されず,何も告げられずに契約を締結したときは,<引渡しを受け,かつ,代金全額を支払わない限り>,契約を締結した日から起算して何日経過しても※,クーリングオフの規定による解除をすることができます(宅建業法37条の2第1項1号)。 本肢では,喫茶店で買受けの申込をし,その際クーリング・オフについて何も告げられていないので,買主Cは,契約を締結した日の10日後でも,クーリングオフの規定による契約解除をすることができます。 ※クーリングオフできる旨を文書を交付して告げられた日から起算して8日を経過するまでは,クーリングオフできるとされているので,クーリング・オフについて何も告げられなかったときは,クーリングオフできる始点が定まらないために,いつでもクーリングオフできることになります。 |
3 買主Dはレストランにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Dは、当該契約の締結をした日の5日後においては、書面を発しなくても契約の解除をすることができる。 |
【正解:×】 ◆クーリングオフの規定による契約解除の通知は,書面によらなければならない 前半は正しいのですが,後半の「書面を発しなくても…」以下が誤りです。 クーリングオフの規定による契約解除の通知は,その旨の書面を発した時にその効力を生ずるとされており,書面によらなければその効力は生じません(宅建業法37条の2第2項)。 したがって,本肢では,<書面を発しなくても (クーリングオフの規定による) 契約の解除をすることができる> としているので,誤りです。 ▼本肢では,レストラン 〔(クーリングオフできない)事務所等に該当しない〕 で買受けの申込みをして契約を締結しているので,クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日以内はクーリングオフの規定による契約解除をすることができます。 本肢では,当該契約の締結をした日の5日後なので,クーリングオフする旨の書面を発すればクーリングオフの規定による契約解除をすることができます。 |
4 買主Eはホテルのロビーにおいて買受けの申込みをし、その際にAからクーリング・オフについて書面で告げられ、契約を締結した。この場合、Eは、当該宅地の代金の80%を支払っていたが、当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる。 |
【正解:○】 ◆物件の引渡しを受け,かつ,代金全額を支払ったとき ⇒ クーリングオフできない 物件の引渡しを受け,かつ,代金全額を支払ったときは,クーリングオフの規定による契約解除をすることはできなくなります(宅建業法37条の2第1項2号,施行規則16条の6第3号)。 しかし,本肢の場合,<代金の80%を支払っていた>だけなので,クーリングオフについて書面を交付して告げられた日から起算して8日以内であれば,クーリングオフの規定による契約解除をすることができます。 ▼本肢では,ホテルのロビー 〔(クーリングオフできない)事務所等に該当しない〕 で買受けの申込みをして契約を締結しているので,クーリング・オフについて書面で告げられた日から起算して8日以内はクーリングオフの規定による契約解除をすることができます。 ▼本肢では,「当該契約の締結の日から8日を経過するまでは、契約の解除をすることができる」となっていますが,契約締結の日がクーリングオフについて書面で告げられた日なので,正確には,<当該契約の締結の日〔または書面で告げられた日〕から起算して8日を経過するまでは,契約の解除をすることができる。>としなければなりません。 これについては,疑義があることは確かですが,試験実施機関では,「誤問とするまでには至らない」と判断したものと思われます。 |