宅建過去問 宅建業法
事務所等の規制の過去問アーカイブス 平成20年・問42
標識,帳簿,従業者名簿,従業者証明書,
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 |
1 宅地建物取引業者は、販売予定の戸建住宅の展示会を実施する際、会場で売買契約の締結や売買契約の申込みの受付を行わない場合であっても、当該会場内の公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。 |
2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、閲覧に供しなければならない。 |
3 宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。 |
4 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯をさせなくてもよい。 |
<コメント> |
肢1と肢2で迷った方が多かったと思われます。対比して覚えるようにすると,つまらないミスは防げます。 |
●出題論点● |
肢1 展示会場には,契約行為の有無を問わず,標識を掲示しなければならない
肢2 帳簿を閲覧させる義務はない 肢3 従業者名簿の備え付け 肢4 従業者証明書の携帯 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
正答率 | 52.1% |
1 宅地建物取引業者は、販売予定の戸建住宅の展示会を実施する際、会場で売買契約の締結や売買契約の申込みの受付を行わない場合であっても、当該会場内の公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。 |
【正解:○】 ◆標識−契約行為を行わない展示会場にも掲示義務 標識は,その宅建業者が免許を受けていることを明示して,モグリ営業などを防止するための規定です。そのため,宅建業者は,業務をする場所では,契約行為〔買受けの申込,契約の締結〕を行うかどうかに関係なく<取引主任者の設置義務の有無を問わず>,公衆の見やすい場所に,標識を掲げなければいけません(宅建業法50条1項)。 したがって,展示会を実施する際には,会場で売買契約の締結や売買契約の申込みの受付を行わない場合であっても,当該会場内の公衆の見やすい場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければなりません。 ●整理●
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2 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、閲覧に供しなければならない。 |
【正解:×】 ◆帳簿は,取引関係者からの請求があっても,閲覧させる義務はない 帳簿は,事務所ごとに備えていなければなりませんが<閉鎖後5年間保存(当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間保存)義務>,取引の関係者から請求があっても,閲覧に供する義務はありません(宅建業法49条,施行規則18条3項)。帳簿は,取引のつどに記載し,取引の相手方等の個人情報も記載されています。宅建業者やその従事者には守秘義務もあるので,ウッカリ帳簿を閲覧させることはできません。 取引の関係者から請求があったときに,閲覧に供しなければならないのは,従業者名簿です(宅建業法48条4項)。 ●従業者名簿と帳簿の対比 1) 保存期間
※当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間保存。 2) 取引関係者への閲覧義務
3) 監督処分と罰則
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3 宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。 |
【正解:×】 ◆従業者名簿 宅建業者は,その事務所ごとに,従業者名簿を備え,従業者の氏名,住所,従業者証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法48条3項)。 本肢のように,「主たる事務所に設置しているすべての事務所の従業者名簿を,従たる事務所にその事務所の従業者名簿を備える」 のは宅建業法には違反しませんが,宅建業法で義務付けているのは,事務所ごとにその事務所の従業者の名簿を備えておくことですから,本肢は誤りと判断しなければなりません。 |
4 宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯をさせなくてもよい。 |
【正解:×】 ◆従業者証明書 宅建業者は,その従業者に,従業者であることを証する証明書を携帯させなければ,その者をその業務に従事させることはできません(宅建業法48条1項)。 その従業者が,非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者であっても,このことに変わりはありません(国土交通省,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。 従業者は,取引の関係者の請求があったときは,従業者証明書を提示しなければならないので(宅建業法48条2項),宅建業者は,従業者証明書を携帯させる者の範囲を絞ることはできないのです。 |
●国土交通省,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 |
□第48条第1項関係−従業者証明書の携帯について 従業者であることを表示する方法は証明書による方法に統一することとする。この従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は、代表者(いわゆる社長)を含み、かつ、「法第15条第1項で定める従事者の範囲」の定めるところに、非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする者を加えるものとする。⇒ ココから出題されています。 単に一時的に業務に従事するものに携帯させる証明書の有効期間については、他の者と異なり、業務に従事する期間に限って発行することとする。 また、従業者証明書を発行した者については、すべて従業者名簿に記載するとともに、従業者証明書を携帯していない者が業務に従事することのないよう、すべての者が携帯することとする。 |