宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 昭和55年・問34 保管替えの請求・還付・取り戻し
宅地建物取引業法の営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和55年・問34) |
1.「本店を移転したためもよりの供託所がかわる場合,営業保証金の保管替えの請求は,営業保証金を金銭のみをもって供託している場合に限り行うことができる。」 |
2.「宅地建物取引業者に対して債権を有する者は,国土交通大臣の承認がある場合に限り,営業保証金から還付を受けることができる。」 |
3.「宅地建物取引業者がその業務の全部停止を命ぜられた期間中は,当該業者について,営業保証金の還付を受けることができない。」 |
4.「宅地建物取引業者がその免許を取り消された場合は,営業保証金を取り戻すことはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「本店を移転したためもよりの供託所がかわる場合,営業保証金の保管替えの請求は,営業保証金を金銭のみをもって供託している場合に限り行うことができる。」 |
【正解:○】 ◆保管替えの請求 主たる事務所を移転したためにもよりの供託所が変更になった場合,遅滞なく,もともと供託していた従来の供託所に対して,移転後の主たる事務所の最寄の供託所への保管替えを請求しなければなりません。(宅建業法・29条1項,営業保証金規則・5条) ※<有価証券のみ,or 有価証券+金銭>によって供託しているときには,この保管替えの請求をすることはできません。
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●原題 |
1.「本店を移転したためもよりの供託所がかわる場合,営業保証金の保管替えは,営業保証金を金銭のみをもって供託している場合に限り行うことができる。」【正解:○】 |
●保管替え等 |
□宅地建物取引業者営業保証金規則 (営業保証金の保管替え) |
□宅地建物取引業法施行規則
(営業保証金の保管替え等の届出) |
2.「宅地建物取引業者に対して債権を有する者は,国土交通大臣の承認がある場合に限り,営業保証金から還付を受けることができる。」 |
【正解:×】 ◆営業保証金の還付 宅建業者と宅建業に関し取引〔宅地建物の購入,媒介・代理の依頼等〕をした者は,その取引によって生じた債権の弁済を,その業者の営業保証金から受けることができ,これを<営業保証金の還付>といいます。(宅建業法・27条1項) 供託物 (営業保証金) の還付を受けようとする者は,供託規則の定めるところによるほか,所定の書式の通知書3通を供託所に提出する等の手続が必要ですが,国土交通大臣の承認を受ける必要はありません。(営業保証金規則・1条)
●通知書3通の行方 ⇒ 供託所,免許権者,宅建業者(営業保証金規則・2条〜3条) |
3.「宅地建物取引業者がその業務の全部停止を命ぜられた期間中は,当該業者について,営業保証金の還付を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆業務停止処分の期間中の還付 宅建業者が業務停止処分の期間中でも,当該業者の営業保証金の還付を受けることができるので,誤りです。 |
4.「宅地建物取引業者がその免許を取り消された場合は,営業保証金を取り戻すことはできない。」 |
【正解:×】 ◆免許取消処分を受けたときの還付 宅建業者が免許を取り消された場合でも,官報に公告し,6ヵ月を下らない一定の期間に還付の申出書の提出がなかったときに,営業保証金を取り戻すことができるので,誤りです。(宅建業法・30条1項,営業保証金規則・8条〜11条) ▼個人業者の死亡,法人の合併による消滅,免許の失効,取消処分,営業保証金の超過により取り戻す場合に,取り戻し事由が生じてから10年を経過したときは官報への公告は不要です。
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