宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 昭和56年・問39 成年の専任の取引主任者


宅地建物取引主任者 (以下,本問において「取引主任者」という) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和56年・問39)

1.「宅地建物取引業者の事務所に取引主任者が数名置かれている場合,その宅地建物取引業者が,このうちで特に主任と任命した者を,その事務所に置かれた専任の取引主任者という。」

2.「専任の取引主任者とは,都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験に合格した上,その都道府県知事の登録を受けた者をいう。」

3.「宅地建物取引業者が事務所に置くことを義務づけられている成年者である専任の取引主任者の数は,事務所において,宅地建物取引業に従事する者の数に関係なく,1名である。」

4.「宅地建物取引業者が法人である場合において,その役員が取引主任者であるときは,その役員が自ら主として宅地建物取引業に従事する事務所については,その役員はその事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者の事務所に取引主任者が数名置かれている場合,その宅地建物取引業者が,このうちで特に主任と任命した者を,その事務所に置かれた専任の取引主任者という。」

【正解:×

◆専任の意味

 「主任と任命した者」を,「その事務所に置かれた専任の取引主任者」とするのではないので,本肢は誤りです。

「専任」について

 専任とは,原則として,宅建業を営む事務所に常勤<宅建業者の通常の勤務時間を勤務すること>して,もっぱら宅建業に従事する状態をいう。(国土交通省・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方について・第15条第1項関係,3「専任の取引主任者」の専任性について)

その事務所が宅建業以外の業種を兼業している場合

・専任の取引主任者が,一時的に宅建業が行われていない時間に他の業種に係る業務に従事しようとするのは差し支えない。

・取引主任者が建築士法等の法令により専任を要する他の業務に従事しようとする場合は,宅建業以外の業種の業務量を斟酌して専任と認められる場合を除き,専任とは認められない。

・個人の宅建業者が取引主任者になっている事務所において,同一の場所で土地家屋調査士や行政書士等の業務を併せて行おうとする場合,宅建業以外の業種の業務量を斟酌して専任と認められる場合を除き,専任とは認められない。

2.「専任の取引主任者とは,都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験に合格した上,その都道府県知事の登録を受けた者をいう。」

【正解:×

◆取引主任者の定義

 <都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験に合格した上,その都道府県知事の登録を受けた者>とは,単に登録をしているだけの者 (資格者) に過ぎず,取引主任者ではありません。

 取引主任者は,登録を受けただけでなく,主任者証の交付を受けた者です。(宅建業法・15条1項)

宅地建物取引主任者資格試験に合格 ・・・ 試験に合格した者 
 ↓
都道府県知事の登録を受ける ・・・ 18条1項の登録を受けている者

(18条1項の登録を受けている者で,
取引主任者証の交付を受けていない者)

 ↓
取引主任者証の交付を受ける ・・・ 取引主任者

(登録を受けている取引主任者)

3.「宅地建物取引業者が事務所に置くことを義務づけられている成年者である専任の取引主任者の数は,事務所において,宅地建物取引業に従事する者の数に関係なく,1名である。」

【正解:×

◆取引主任者の法定数

 専任の取引主任者は,事務所にあっては,宅建業に従事する者の数に対して5人に1人の割合以上で置かなければならない(宅建業法・15条1項,施行規則6条の3)ので,本肢は誤りです。

案内所・展示会等の国土交通省令で定める場所では,宅建業に従事する者の数に関係なく,専任の取引主任者は1名以上です。

4.「宅地建物取引業者が法人である場合において,その役員が取引主任者であるときは,その役員が自ら主として宅地建物取引業に従事する事務所については,その役員はその事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる。」

【正解:

◆役員⇒成年・専任の取引主任者とみなされる

 法人の場合,その役員<取締役又はこれに準じる者。監査役は含まない。>が取引主任者であるときは,その者が自ら主として業務に従事する事務所等<案内所等の国土交通省令で定める場所も含む>では,その事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされます。(宅建業法・15条2項)


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