宅建業法 実戦篇

広告規制の過去問アーカイブス 昭和56年・問41 誇大広告等の禁止


宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち,正しいのはどれか。(昭和56年・問41)

1.「誇大広告等の禁止の対象となるのは,売買の対象となる宅地や建物の所在,規模,形質などについての表示であり,環境や利用の制限についての表示は対象とはならない。」

2.「将来の環境や利用の制限に関する表示については,宅地建物取引業者の予想である旨を併せて表示すれば,たとえ実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させることとなっても,誇大広告等として禁止の対象となることはない。」

3.「宅地建物取引業者が代金に充当するための金銭の貸借をあっせんする場合に,金利や融資期間についても,著しく事実に相違する表示や実際のものよりも,著しく有利であると人を誤認させるような表示をすれば,誇大広告等として,禁止の対象となる。」

4.「宅地建物取引業者は,宅地建物の価格について,実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような広告をしても,現実に売買等の契約が成立しなければ,実害は発生していないので,宅地建物取引業法違反とはならない。」

【正解】

× × ×

1.「誇大広告等の禁止の対象となるのは,売買の対象となる宅地や建物の所在,規模,形質などについての表示であり,環境や利用の制限についての表示は対象とはならない。」

【正解:×

◆誇大広告等の禁止の対象

 将来の利用の制限や環境についても,著しく事実に相違する表示をし,又は実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示をすれば,規制対象になります。(宅建業法・32条)

 したがって,本肢は誤りです。

 KEY 

 誇大広告等の禁止に違反すると
           ↓
 罰則 6月以下の懲役,もしくは100万円以下の罰金,又はその併科

 両罰規定 行為者を罰するほか,宅建業者である法人・個人にも
        罰金刑を科する。

 監督処分  指示処分
        1年以内の業務停止処分(全部又は一部)
        (情状が特に重いとき) 免許取消処分

●宅地建物取引業法
(誇大広告等の禁止)
第32条  宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在規模形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

2.「将来の環境や利用の制限に関する表示については,宅地建物取引業者の予想である旨を併せて表示すれば,たとえ実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させることとなっても,誇大広告等として禁止の対象となることはない。」

【正解:×

◆誤認させる行為そのものが違反する

 <著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示>そのものが禁止されているので,『予想だから』と言って逃げられない。

3.「宅地建物取引業者が代金に充当するための金銭の貸借をあっせんする場合に,金利や融資期間についても,著しく事実に相違する表示や実際のものよりも,著しく有利であると人を誤認させるような表示をすれば,誇大広告等として,禁止の対象となる。」

【正解:

◆金銭貸借のあっせん−金利・融資期間

 <代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせん>も,規制対象になっています。金利や融資期間は購入するに当たって重要な判断材料ですから,禁止の対象となります。

4.「宅地建物取引業者は,宅地建物の価格について,実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような広告をしても,現実に売買等の契約が成立しなければ,実害は発生していないので,宅地建物取引業法違反とはならない。」

【正解:×

◆売買が現実に成立しなくても,違反となる

 今現在,誇大広告による実害が発生していないということは免罪符にはなりません。なぜならば,今は実害がなくても,今後その広告を見た人が購入する可能性があるからです。


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