宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和56年・問43
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限
宅地建物取引業者Aは,B所有の宅地を宅地建物取引業者でないCに転売しようとしている。次の記述で,宅地建物取引業法上正しいものはどれか。(昭和56年・問43) |
1.「Aは,Bにこの宅地の買取りについて全く話を持ちかけていない場合であっても,Bから承諾を受ける見込みで,この宅地をCに売り渡す契約を締結しても差し支えない。」 |
2.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する停止条件付きの契約を締結している場合であっても,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
3.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ,Bに代金の全額を支払った後でなければ,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
4.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ,所有権移転登記を完了した後でなければ,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
●自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 |
宅建業法上の,<自己の所有に属しない宅地又は建物>とは,次の2つのうちのどれかであることを意味します。
・他人物 ⇒ 本問で扱う。 ・工事完了前 (未完成物件) |
●他人物の売買契約締結の制限 |
他人物の宅地や建物の売買契約締結は,原則として禁止されているが,
宅建業者が,その物件を取得する契約<停止条件付契約でなければよく,予約でもよい>を締結していれば, 宅建業者ではない者と,売買契約を締結できる。(宅建業法・33条の2第1号) |
KEY |
自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 |
1.「Aは,Bにこの宅地の買取りについて全く話を持ちかけていない場合であっても,Bから承諾を受ける見込みで,この宅地をCに売り渡す契約を締結しても差し支えない。」 |
【正解:×】 ◆Bと契約を締結していない ⇒ Cに売り渡す契約は締結できない B (宅地の所有者) Aは,Bにこの宅地の買取りについて全く話を持ちかけていない場合は,この宅地をCに売り渡す契約を締結することはできない。 |
2.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する停止条件付きの契約を締結している場合であっても,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
【正解:○】 ◆Bと停止条件付で買い取る契約を締結 ⇒ Cに売り渡す契約は締結できない B (宅地の所有者) Aは,Bとこの宅地の買取りに関する売買契約を締結しても,その契約が停止条件付契約であるとき,その条件が成就するまでの間は,この宅地をCに売り渡す契約を締結することはできないので正しい。 |
3.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ,Bに代金の全額を支払った後でなければ,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
【正解:×】 ◆Bとその宅地を買い取る契約を締結 ⇒ Cに売り渡す契約を締結できる B (宅地の所有者) Aは,Bとこの宅地の買取りに関する契約<≠停止条件付契約>を締結していれば,代金の全額を支払っていなくても,この宅地をCに売り渡す契約を締結することができる。 |
4.「Aは,Bとの間でこの宅地の買取りに関する契約を締結したうえ,所有権移転登記を完了した後でなければ,この宅地をCに売り渡す契約を締結してはならない。」 |
【正解:×】 ◆Bとその宅地を買い取る契約を締結 ⇒ Cに売り渡す契約を締結できる B (宅地の所有者) Aは,Bとこの宅地の買取りに関する契約<≠停止条件付契約>を締結していれば,所有権移転登記を完了していなくても,この宅地をCに売り渡す契約を締結することができる。 |