宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 昭和57年・問39 

登録・登録の移転・法定講習・登録の基準(欠格要件)


宅地建物取引主任者に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和57年・問39)

1.「宅地建物取引主任者資格登録の申請は,その登録を受けようとする者の住所地の都道府県知事にしなければならない。」

2.「宅地建物取引主任者資格登録の移転の申請は,登録を移転しようとする先の都道府県知事に対して,直接しなければならない。」

3.「宅地建物取引主任者として業務に従事しようとする者は,登録をしている都道府県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けた後,当該知事が指定する講習を受講しなければならない。」

4.「宅地建物取引業法に違反して罰金の刑に処せられ,その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は,宅地建物取引主任者資格登録を受けることはできない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引主任者資格登録の申請は,その登録を受けようとする者の住所地の都道府県知事にしなければならない。」

【正解:×

◆登録の申請は,合格した試験地の知事にする

 試験に合格した者は,試験を行った都道府県知事の登録を受けることができ,登録を受けようとするときは合格した試験地の知事に登録申請書を提出しなければなりません(宅建業法・18条1項,19条1項)

宅建試験を何回か受験して,複数の都道府県で合格していた場合は,合格した試験地ならばどこでも登録申請をすることができます<宅建試験は,過去に合格していても,また登録や主任者証の交付を受けていても,再度受験することができます。>

●登録簿の登載事項
(宅地建物取引主任者資格登録簿の登載事項)
第14条の2  法第18条第2項 に規定する国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一  本籍(日本の国籍を有しない者にあつては、その者の有する国籍)及び性別

二  試験の合格年月日及び合格証書番号

三  法第18条第1項 の実務の経験を有する者である場合においては、申請時現在の当該実務の経験の期間及びその内容並びに従事していた宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号

四  法第18条第1項 の規定により能力を有すると認められた者である場合においては、当該認定の内容及び年月日

五  宅地建物取引業者の業務に従事する者にあつては、当該宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号

2  法第18条第2項 の規定による登録簿の様式は、別記様式第4号によるものとする。

(変更の登録)
第14条の7
 法第20条 の規定による変更の登録を申請しようとする者は、別記様式第7号による変更登録申請書をその者の登録をしている都道府県知事に提出しなければならない。

2  都道府県知事は、前項に規定する変更登録申請書の提出があつたときは、遅滞なく、変更の登録をするとともに、その旨を変更の登録を申請した者に通知しなければならない。

2.「宅地建物取引主任者資格登録の移転の申請は,登録を移転しようとする先の都道府県知事に対して,直接しなければならない。」

【正解:×

◆登録の移転の申請

 「宅建業者の免許換え」と「取引主任者の登録の移転」を混同している受験者を狙い撃ちにした問題です。

 登録の移転の申請手続きは,現在登録を受けている都道府県知事を経由して行います(宅建業法・19条の2)

 移転しようとする先の都道府県知事に対して直接申請するのではありません

免許換えと対比してみましょう。

取引主任者の
登録の移転の申請
現在登録を受けている都道府県知事を経由して,
移転しようとする先の都道府県知事に申請する。
国土交通大臣免許
への免許換え
主たる事務所を管轄する都道府県知事を経由して
国土交通大臣に申請する。
都道府県知事免許
への免許換え
新たな免許権者になる都道府県知事に直接申請する。

 (新たな主たる事務所が所在する都道府県を
  管轄する知事に直接申請する。)

●関連知識
登録の移転の申請とともに主任者証の交付申請をした場合は,新たな主任者証の有効期間は,従前の主任者証の有効期間の残りの期間になる。(宅建業法・22条の2第5項)

3.「宅地建物取引主任者として業務に従事しようとする者は,登録をしている都道府県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けた後,当該知事が指定する講習を受講しなければならない。」

【正解:×

主任者証交付申請時の知事指定の講習の受講義務

 取引主任者としての事務を行うには,主任者証の交付を受けていなければ,まず主任者証の交付を申請しなければいけません。

 本肢では,<主任者証の交付を受けた後,当該知事が指定する講習を受講しなければならない。」>となっていますが,

 知事指定の講習は,主任者証の交付申請前6月以内に行われるものを受講しなければならない〔宅建試験に合格して1年以内に交付申請する場合は受講する必要はない。〕

 ので,本肢は誤りです 主任者証の交付を申請するには,原則として,登録している知事が指定する講習 (交付申請前6月以内に行われるもの) を受講する必要があります。(宅建業法・22条の2第2項)

 KEY 

 主任者証の交付を申請するには,原則として,
 登録している知事が指定する講習を受講しなければならない。
              例外
 <宅建試験に合格して1年以内に交付申請する場合>
 <登録の移転によって交付申請する場合>

更新時の講習

 主任者証の有効期間の更新を受けようとする者は,登録している知事が指定する講習 (更新の申請前6月以内に行われるもの) を受講しなければいけません。(宅建業法・22条の3第2項)

4.「宅地建物取引業法に違反して罰金の刑に処せられ,その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は,宅地建物取引主任者資格登録を受けることはできない。」

【正解:

◆登録の欠格要件−宅建業法違反で罰金刑に処せられた者−

 宅建業法に違反して,罰金の刑に処せられその刑の執行が終わった日から5年を経過しない者<又は時効の完成等により刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者>は,取引主任者の資格登録を受けることができません(宅建業法・18条1項5号の2)


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