宅建業法 実戦篇
事務所等の過去問アーカイブス 昭和57年・問45 案内所等の届出・変更の届出・
宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法違反になるのは,次の記述のうちどれか。(昭和57年・問45) |
1.「Aは,10戸の一団の建物を分譲する際の案内所 (契約又は申込の受付等を行う場所) の設置について,宅地建物取引業法の規定に基づく届出はしなかった。」改 |
2.「Aは,新たに事務所を設置したので設置してから12日後に,その事務所設置に係る宅地建物取引業法の規定に基づく変更の届出を行った。」 |
3.「Aは,その主たる事務所に営業保証金供託済届出書を掲示しなかった。」 |
4.「Aは,その主たる事務所に専任の宅地建物取引主任者の宅地建物取引主任者資格試験の合格証書を掲示しなかった。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反しない | 違反しない | 違反しない |
1.「Aは,10戸の一団の建物を分譲する際の案内所の設置について,宅地建物取引業法の規定に基づく届出はしなかった。」 |
【正解:違反する】 ◆案内所等の届出 専任の取引主任者の設置義務のある案内所等を設置しようとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければならない(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)ので,本肢のケースは宅建業法に違反します。
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●事務所以外で専任の主任者の設置義務がある国土交通省令で定める場所 | ||||
事務所以外であっても,宅地建物の売買・交換の契約の締結,媒介代理契約の締結,契約の申込を受ける場所には,専任の取引主任者を置かなければならず(宅建業法・15条1項,施行規則・6条の2),以下の国土交通省令で定める場所を設置しようとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければいけません(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)。
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2.「Aは,新たに事務所を設置したので設置してから12日後に,その事務所設置に係る宅地建物取引業法の規定に基づく変更の届出を行った。」 |
【正解:違反しない】 ◆変更の届出 下記に変更があった場合は,30日以内に,その旨を免許権者〔都道府県知事 or 国土交通大臣〕に届けなければいけません。(宅建業法・9条)(平成7年の法改正で,届出期間は30日以内になりました。それまでの届出期間は2週間以内でした。)
本肢では,事務所を新設してから12日後に届出をしており,30日以内に届け出ているので,宅建業法に違反しません。 ▼<従たる事務所を新設したときには供託した旨の届出(宅建業法・26条1項)をしなければ営業を開始できない(宅建業法・26条2項,25条5項)のでは>と思う人もいるかもしれません。 しかし,本肢はこの規定を問うているのではなく,単に【事務所についての変更の届出が30日以内に届け出る】ことについて問うています。 また,【事務所についての変更の届出】には,供託したことを記載する欄はないので(施行規則・5条の3・様式第3号の4),【供託した旨の届出】とは別の規定であることを押さえておきましょう。
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3.「Aは,その主たる事務所に営業保証金供託済届出書を掲示しなかった。」 4.「Aは,その主たる事務所に専任の宅地建物取引主任者の宅地建物取引主任者資格試験の合格証書を掲示しなかった。」 |
【正解:違反しない】 ◆事務所に掲示すべき標識,報酬の額 事務所に掲示しなければいけないのは,<標識>,<報酬の額>であり(宅建業法・50条1項,46条4項),『営業保証金供託済届出書』や『宅地建物取引主任者資格試験の合格証書』を掲示する必要はないので,肢3・肢4は宅建業法には違反しません。
※事務所以外にの場所に掲示する標識では,<業務の態様−案内をするだけの施設なのか(案内等),それとも,買受の申込の受理や契約締結を行う場所であるのか>,<その場所で取り扱う物件の名称・所在地>など業務内容を記載することになっています。このほか,クーリングオフできる場所の場合は,クーリングオフ制度の適用がある旨を2cm四方以上大きさの文字で表示することになっています。(宅建業法施行規則・19条2項,様式10号,11号) ⇒ 土地に定着した建物内にある案内所でなされた買受の申込や契約の締結については,クーリングオフできないことに注意してください。 |