宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和57年・問46
自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 (他人物・未完成物件)
宅地建物取引業法第33条の2 (自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限) の規定に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和57年・問46) |
1.「宅地建物取引業者は,自己の所有に属しない建物を自ら売主として,他の宅地建物取引業者に売り渡す契約を締結することができない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,建物が未完成のため自己の所有に属していない場合であっても,建築確認等をすでに受けており,手付金等の保全措置を講じていれば自ら売主としてその建物を売り渡す契約を締結することができる。」改 |
3.「宅地建物取引業者は,いかなる場合も売主の所有に属しない建物の売買の媒介をしてはならない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,自己の所有に属しない建物につきその所有権を取得する契約を締結していれば,その契約が停止条件付きであっても,自ら売主として宅地建物取引業者でない他の者に売り渡す契約を締結することができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
●自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 |
宅建業法上の,<自己の所有に属しない宅地又は建物>とは,次の2つのうちのどれかであることを意味します。
・他人物 ・工事完了前 (未完成物件) |
1.「宅地建物取引業者は,自己の所有に属しない建物を自ら売主として,他の宅地建物取引業者に売り渡す契約を締結することができない。」 |
【正解:×】 ◆宅建業者間では,自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の締結は禁止されていない 宅建業者は,自己の所有に属しない宅地や建物について,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結することは禁止されています。(宅建業法・33条の2) しかし,買主(相手方)が宅建業者の場合には禁止されていないので,本肢は誤りです。 |
2.「宅地建物取引業者は,建物が未完成のため自己の所有に属していない場合であっても,建築確認等をすでに受けており,手付金等の保全措置を講じていれば自ら売主としてその建物を売り渡す契約を締結することができる。」 |
【正解:○】 ◆未完成物件 宅建業者は,未完成物件<宅地造成工事や建築工事の完了前>の宅地や建物について,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結することは,原則として,禁止されています。(宅建業法・33条の2第2号) しかし,:建築確認や開発許可等の処分がなされ(宅建業法・36条),手付金等の保全措置を講じたときは,自ら売主として,未完成物件について宅建業者ではない者と売買契約を締結することができます。(宅建業法・33条の2第2号) ▼肢1と同じように,宅建業者間では,禁止されていません。 ●整理●契約締結時期の制限,自己の所有に属さない宅地又は建物の売買契約締結時期の制限
※手付金等の合計が代金の5%以下,かつ,1,000万円以下であるとき,買主が所有権の登記をしたとき(保存登記),買主への所有権移転登記がされたときは保全措置は不要。 |
●原題 |
2.「宅地建物取引業者は,建物が未完成のため自己の所有に属していない場合であっても,手付金等の保全措置を講じていれば自ら売主としてその建物を売り渡す契約を締結することができる。」 |
【原題での設定:○】 |
3.「宅地建物取引業者は,いかなる場合も売主の所有に属しない建物の売買の媒介をしてはならない。」 |
【正解:×】 ◆媒介では禁止されていない 宅建業者が自ら売主となる場合では,他人物や未完成物件の売買契約の締結は原則として禁止されていますが,媒介や代理の場合は禁止されていません。(宅建業法・33条の2) |
4.「宅地建物取引業者は,自己の所有に属しない建物につきその所有権を取得する契約を締結していれば,その契約が停止条件付きであっても,自ら売主として宅地建物取引業者でない他の者に売り渡す契約を締結することができる。」 |
【正解:×】 ◆他人物について停止条件付売買契約を締結しているときは,宅建業者ではない者と,売買契約を締結することはできない 他人物の物件について,その所有権を取得する契約を締結していても,その契約が停止条件付きのときは,その条件が成就するまでの間は,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結することはできません。(宅建業法・33条の2第1号) |
●他人物の売買契約締結の制限 |
他人物の宅地や建物の売買契約締結は,原則として禁止されているが,
宅建業者が,その物件を取得する契約<停止条件付契約でなければよく,予約でもよい>を締結していれば, 宅建業者ではない者と,売買契約を締結できる。(宅建業法・33条の2第1号) |