宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 昭和59年・問40
変更の登録・登録の移転・移転前の主任者証の効力・主任者証の提出
Aは,B県知事の登録及び取引主任者証の交付を受けている宅地建物取引主任者である。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(昭和59年・問40) |
1.「Aは,住所を変更したときは,遅滞なく,変更の登録を申請しなければならない。」 |
2.「AがC県に転居し,隣接のD県内に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事するときは,Aは,D県知事に対しB県知事を経由して登録の移転を申請することができる。」 |
3.「AがE県知事に登録の移転を行ったときは,B県知事の発行した取引主任者証はその効力を失う。」 |
4.「Aは,F県知事から取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証をF県知事に提出しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「Aは,住所を変更したときは,遅滞なく,変更の登録を申請しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆変更の登録 取引主任者は,登録を受けている事項に変更があったときは,遅滞なく,登録を受けている都道府県知事に,変更の登録を申請しなければなりません。(宅建業法・20条,施行規則・14条の7・第1項,様式7号)
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●登録簿の登載事項 |
(宅地建物取引主任者資格登録簿の登載事項) 第14条の2 法第18条第2項 に規定する国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。 一 本籍(日本の国籍を有しない者にあつては、その者の有する国籍)及び性別 二 試験の合格年月日及び合格証書番号 三 法第18条第1項 の実務の経験を有する者である場合においては、申請時現在の当該実務の経験の期間及びその内容並びに従事していた宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号 四 法第18条第1項 の規定により能力を有すると認められた者である場合においては、当該認定の内容及び年月日 五 宅地建物取引業者の業務に従事する者にあつては、当該宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号 2 法第18条第2項 の規定による登録簿の様式は、別記様式第4号によるものとする。 (変更の登録) 2 都道府県知事は、前項に規定する変更登録申請書の提出があつたときは、遅滞なく、変更の登録をするとともに、その旨を変更の登録を申請した者に通知しなければならない。 |
2.「AがC県に転居し,隣接のD県内に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事するときは,Aは,D県知事に対しB県知事を経由して登録の移転を申請することができる。」 |
【正解:○】 ◆登録の移転申請ができる要件 登録の移転の申請は,登録を受けている知事の管轄する都道府県以外の都道府県にある宅建業者の事務所の業務に<従事し,又は,従事しようとするとき>(勤務場所の変更や勤務会社の変更,転職など。)にすることができます(宅建業法・19条の2)。 登録の移転は,登録をしている都道府県知事を経由し,登録を移転しようとする先の都道府県知事に対して申請します(宅建業法・19条の2)。
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3.「AがE県知事に登録の移転を行ったときは,B県知事の発行した取引主任者証はその効力を失う。」 |
【正解:○】 ◆登録の移転と主任者証 登録の移転があったときは,従前の登録地で交付された取引主任者証はその効力を失います(宅建業法・22条の2・第4項)。 登録の移転の申請とともに登録の移転後の新しい主任者証の交付申請をすると,従前の主任者証と引換えに新しい主任者証が交付されます(施行規則・14条の14)。 この新しい主任者証の有効期間は,従前の主任者証の有効期間が経過するまでの期間になります(宅建業法・22条の2・第5項)。
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4.「Aは,F県知事から取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証をF県知事に提出しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆事務禁止処分 ⇒ すみやかに知事に提出
Aは,B県知事の登録及び取引主任者証の交付を受けている取引主任者なので,F県知事から事務の禁止の処分を受けたときであっても,主任者証をA県知事に提出しなければならないので,本肢は誤りです。 <都道府県知事は,他の都道府県知事の登録を受けている取引主任者に対しても,1年以内の期間を定めて事務禁止の処分をすることができます(宅建業法・68条・4項)。>
▼事務禁止期間が満了して,取引主任者が返還の請求をしたときは,知事は直ちに主任者証を返還しなければなりません。(宅建業法・22条の2第8項) |