宅建業法 実戦篇
媒介契約の過去問アーカイブス 昭和59年・問47
専任媒介契約・標準一般媒介契約約款
宅地建物取引業者AがBからB所有の土地付建物の売却の媒介を依頼され,これを承諾した場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。 |
1.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,その有効期間は,2ヵ月と定めた場合には2ヵ月となるが,4ヵ月と定めた場合には3ヵ月となる。」 |
2.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,その有効期間の更新にはBの申出が必要であるが,Aがこれを承諾しないときは更新されない。」 |
3.「AB間の媒介契約が専任媒介契約でない場合,Bは,A以外に宅地建物取引業者Cにも当該物件の売却の媒介を依頼することができるが,その場合,Aに対してCを明示しないこととすることもできる。」 |
4.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,Bは,その有効期間内においては,A以外の宅地建物取引業者に重ねて当該物件の売却の媒介を依頼することはできないが,代理を依頼することは差し支えない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,その有効期間は,2ヵ月と定めた場合には2ヵ月となるが,4ヵ月と定めた場合には3ヵ月となる。」 |
【正解:○】 ◆専任媒介・専属専任媒介−依頼者から更新の申出がなければ更新できない 専任媒介契約・専属専任媒介契約では,有効期間は3月を超えることができず,これより長い期間を定めたときでも、その期間は自動的に3月になります(宅建業法・34条の2・第3項)。 また,依頼者の申出により,更新することができますが(宅建業法・34条の2・第4項),この場合でも,更新の時から3月を超えることができません。 専任媒介契約・専属専任媒介契約では,宅建業者の都合によって依頼者が想定外の期間を不当に拘束されることのないようにしています。 ▼一般媒介では,有効期間や依頼者からの更新の申出がなければ更新できないという規定は適用されず,自動更新することができます。 ●有効期間と更新の規定
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2.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,その有効期間の更新にはBの申出が必要であるが,Aがこれを承諾しないときは更新されない。」 |
【正解:○】 ◆依頼者からの更新の申出 媒介契約は当事者間の合意がなければ成立せず,また更新もされないので,依頼者からの更新の申出があった場合に,宅建業者がこれを承諾しないこともできます。 |
3.「AB間の媒介契約が専任媒介契約でない場合,Bは,A以外に宅地建物取引業者Cにも当該物件の売却の媒介を依頼することができるが,その場合,Aに対してCを明示しないこととすることもできる。」 |
【正解:○】 ◆他の宅建業者に依頼することの明示 宅建業者A (Bと一般の媒介契約) 宅建業法では,専任媒介契約 (専属専任媒介契約も含む。) ではない一般の媒介契約で,<依頼者Bは宅建業者Aに媒介を依頼すると,他の宅建業者Cに重ねて依頼する場合はそのことを媒介業者Aに明示しなければならない>という規定はないので,明示するかしないかは当事者の合意によります。 ●標準媒介契約約款での取り扱い 媒介契約書面では,国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款に基づくものであるかの別を記載することになっています(施行規則・15条の7・第4号)。 一般の媒介契約向けにも,標準媒介契約約款は定められており,その約款では,他の宅建業者に重ねて依頼することを,媒介業者に明示しないこともできることになっています。 |
4.「AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合,Bは,その有効期間内においては,A以外の宅地建物取引業者に重ねて当該物件の売却の媒介を依頼することはできないが,代理を依頼することは差し支えない。」 |
【正解:×】 ◆専任媒介契約・専属専任媒介契約−他の宅建業者に重ねて依頼することはできない 専任媒介契約 (専属専任媒介契約を含む。) では,媒介契約の有効期間内は,他の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することはできません(宅建業法・34条の2・第3項)。
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