宅建業法 実戦篇
業務上の規制の過去問アーカイブス 昭和59年・問50
秘密を守る義務・重要な事項の不告知,不実の告知の禁止の禁止
宅地建物取引業法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和59年・問50) |
1.「宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,その業務に関し知り得た重要な事項について,故意に不実のことを告げてはならないが,その事実を告げないことは差し支えない。」 |
3.「宅地建物取引業者は,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密であっても,場合によっては,取引の関係者に対してその事実を告げなければならないことがある。」 |
4.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業を営まなくなった後であっても,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
【正解:○】 ◆従業者 : 秘密を守る義務 宅建業者の使用人その他の従業者も,正当な理由がなければ,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけません。宅建業者の従業者でなくなった後でも,この守秘義務があります(宅建業法・75条の2)。
▼宅建業者,従業者どちらの場合の守秘義務違反も,被害者の意思を尊重するため,いわゆる親告罪とされており,被害者等から告訴がなければ公訴を提起することはできません(宅建業法・83条・2項)。 |
2.「宅地建物取引業者は,その業務に関し知り得た重要な事項について,故意に不実のことを告げてはならないが,その事実を告げないことは差し支えない。」 |
【正解:×】 ◆重要な事項についての故意の不告知,不実の告知は禁止されている 35条の重要事項に該当しないものでも,取引の相手方等に重大な不利益をもたらすおそれのある事項について,故意に告知しなかったり,事実とは違う不実のことを告げることは禁止されています(宅建業法・47条・第1号)。 したがって,<事実を告げないことは差し支えない>とする本肢は誤りです。
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●業務に関する禁止事項 |
(業務に関する禁止事項) 第47条 宅地建物取引業者は,その業務に関して,宅地建物取引業者の相手方等に対し,次に掲げる行為をしてはならない。 1号 宅地若しくは建物の売買,交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し,又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため,次のいずれかに該当する事項について,故意に事実を告げず,又は不実のことを告げる行為 イ 第35条第1項各号又は第2項各号に掲げる事項 |
3.「宅地建物取引業者は,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密であっても,場合によっては,取引の関係者に対してその事実を告げなければならないことがある。」 |
【正解:○】 ◆宅建業者 : 秘密を守る義務 宅建業者は,正当な理由がなければ,業務上知り得た秘密を他に漏らしてはいけません(宅建業法・45条)。 肢2で見たように,業務上知り得た秘密であっても,取引の相手方等の利害に係る重要な事項については,相手方等に告げなければいけません(宅建業法・47条1号)。 ※正当な理由・・・裁判での証言,税務署員からの質問,取引の相手方の利害に係ること,本人の承諾があるものなど。 ▼<取引の関係者ならば誰にでも話してもいいのか?>などと考え込むとドツボにハマリます。 |
4.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業を営まなくなった後であっても,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
【正解:○】 ◆宅建業者 : 秘密を守る義務−宅建業を営まなくなった後も 宅建業者は,正当な理由がなければ,業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならず,これは,宅建業を営まなくなった後でも,同じです(宅建業法・45条)。
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