宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 昭和60年・問35 

届出・事務を行う区域制限はない・登録の有効期間・登録の移転後の主任者証の有効期間


宅地建物取引主任者 (以下,「取引主任者」という。) に関する記述のうち,正しいものはどれか。(昭和60年・問35)

1.「取引主任者は禁錮刑に処せられたときは,その旨を登録している都道府県知事に届け出なければならない。」

2.「取引主任者は,その登録をしている都道府県知事の管轄する区域内においてのみ,取引主任者としてすべき事務を行うことができる。」

3.「取引主任者が受けている登録の有効期間は5年とされており,引き続き登録を受けようとする者は,この有効期間の更新を受けなければならない。」

4.「取引主任者が登録の移転をした場合,その移転後の取引主任者証の有効期間は,登録の移転の日から5年である。」

【正解】

× × ×

1.「取引主任者は禁錮刑に処せられたときは,その旨を登録している都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解:

◆禁錮以上の刑に処せられたときの届出

 取引主任者の資格登録を受けている者が禁錮以上の刑に処せられたときは,その旨を30日以内に,登録を受けている都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法・21条・2号)

   いつ届け出るか  届け出る人
 死亡した  事実を知った日から30日以内  その相続人
 成年被後見人になった
 被保佐人になった
 その日から30日以内  その後見人
 その保佐人
 営業に関して成年者と
 同一の能力を有しなくなる
 本人
 破産手続開始の決定があった
 業者の免許を取り消された
 禁錮以上の刑に処せられた
 宅建業法違反・傷害等の罪で
 罰金刑に処せられた

2.「取引主任者は,その登録をしている都道府県知事の管轄する区域内においてのみ,取引主任者としてすべき事務を行うことができる。」

【正解:×

◆取引主任者は,登録地以外の区域でも事務を行うことができる

 取引主任者は,その登録をしている都道府県知事の管轄する区域内だけでなく,全国どこでも取引主任者としてすべき事務を行うことができます。

 県内の宅建業者の事務所で宅建業に従事する専任の取引主任者は,県以外の都道府県知事の登録を受けた取引主任者でも,差し支えありません。

3.「取引主任者が受けている登録の有効期間は5年とされており,引き続き登録を受けようとする者は,この有効期間の更新を受けなければならない。」

【正解:×

◆主任者証の有効期間は5年だが,資格登録に更新手続はない

 不正手段によって試験を受けて合格を取り消されない限り(宅建業法・17条1項),宅建試験の合格は,一生有効です。⇒ 資格登録後に,合格の取消以外で,登録を消除されても,合格は一生有効で,再度登録を申請できる。

 宅建に合格した者は,2年以上の実務経験があるか又は実務講習を修了することによって,試験地の都道府県知事に,いつでも登録を受けることができます。(宅建業法・17条1項)

 取引主任者の登録には更新手続というものはなく,一度登録を受ければ,都道府県知事によって登録が消除されない限り,有効です。(主任者証の交付を受けなくても,登録が消除されることはない。)

 したがって,本肢は誤りです。

 KEY 

 合格した都道府県〔試験地〕に,登録

登録に更新手続はない

取引主任者証の有効期間は5年で,申請により更新することができます。(宅建業法・22条の2・第3項,22条の3・第1項)

4.「取引主任者が登録の移転をした場合,その移転後の取引主任者証の有効期間は,登録の移転の日から5年である。」

【正解:×

◆登録の移転後の主任者証の有効期限

 登録の移転があったときは,従前の登録地で交付された取引主任者証はその効力を失います(宅建業法・22条の2・第4項)

 登録の移転の申請とともに登録の移転後の新しい主任者証の交付申請をすると,従前の主任者証と引換えに新しい主任者証が交付されます(施行規則・14条の14)

 この新しい主任者証の有効期間は,従前の主任者証の有効期間が経過するまでの期間になります(宅建業法・22条の2・第5項)

 KEY 

 【登録の移転とともに主任者証の交付を申請した場合】

登録の移転による新しい主任者証の有効期間

従前の主任者証の有効期間が経過するまでの期間


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