宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和60年・問48
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限
宅地建物取引業者Aが自ら売主となってB所有の宅地について買主Cとの間で売買契約を締結する場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(昭和60年・問48) |
1.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買契約を締結することができる。」 |
2.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の停止条件付き売買契約を締結することができる。」 |
3.「Cが宅地建物取引業者である場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買の予約を締結することができる。」 |
4.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の停止条件付き売買契約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買契約を締結することができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
●自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 |
宅建業法上の,<自己の所有に属しない宅地又は建物>とは,次の2つのうちのどれかであることを意味します。
・他人物 ⇒ 本問で扱う。 ・工事完了前 (未完成物件) |
●他人物の売買契約締結の制限 |
他人物の宅地や建物の売買契約締結は,原則として禁止されているが,
宅建業者が,その物件を取得する契約<停止条件付契約でなければよく,予約でもよい>を締結していれば, 宅建業者ではない者と,売買契約を締結できる。(宅建業法・33条の2第1号) |
KEY |
自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限 |
1.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買契約を締結することができる。」
2.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の停止条件付き売買契約を締結することができる。」 |
【正解:○】 B (宅地の所有者) ○ 売買契約 宅建業者Aは,その宅地の売買の予約を締結していれば,宅建業者ではない者Cと,売買契約,売買の予約,停止条件付売買契約を締結できます(宅建業法・33条の2第1号)。 |
3.「Cが宅地建物取引業者である場合,AがBとの間で当該宅地の売買の予約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買の予約を締結することができる。」 |
【正解:○】 ◆買主が宅建業者 ⇒ 自己の所有に属しない売買契約の制限は適用されない B (宅地の所有者) ○ 売買契約 宅建業者が自ら売主として,他人物を,宅建業者ではない者に売買することは原則として禁止されていますが,宅建業者の取引では,禁止されていません(宅建業法・78条2項)。 したがって,宅建業法の33条の2の制限については考える必要はないので,この制限に関係なく,Aは宅建業者ではない者Cと売買契約,売買の予約,停止条件付売買約を締結することができます。
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4.「Cが宅地建物取引業者でない場合,AがBとの間で当該宅地の停止条件付き売買契約をしているときは,AはCとの間で当該宅地の売買契約を締結することができる。」 |
【正解:×】 ◆停止条件付売買契約の締結をしているときは,他人物の売買はできない B (宅地の所有者) × 売買契約 宅建業者Aは,その宅地の売買契約が停止条件付である場合,その条件が成就するまでの間は,宅建業者ではない者Cと,売買契約,売買の予約,停止条件付売買契約を締結することはできません(宅建業法・33条の2第1号)。
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