宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 昭和61年・問37
意見の根拠の明示・主任者の欠員・主任者の定義・登録の基準 (欠格要件)
宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和61年・問37) |
1.「宅地建物取引業者は,媒介契約を締結するに当たり,宅地又は建物を売買すべき価額又は評価額について意見を述べる場合は,取引主任者をしてその根拠を明らかにして行わせなければならない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,業務に従事する者15人,うち専任の取引主任者3人が勤務する事務所で,専任の取引主任者のうち1人の取引主任者証の有効期限が満了したまま2週間が経過した場合には,業務の停止処分を受けることがある。」 |
3.「取引主任者証の交付を受けていない取引主任者資格者が宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明を行い,書面に記名,押印した場合で,情状が特に重いときは,その者は事務の禁止処分を受けることがある。」 |
4.「業務停止処分に違反したとして免許の取消処分の聴聞の公示をされ,その公示の日から処分決定をする日までの間に相当な理由がなく廃業の届出をした者は,その公示の日から5年間を経過しなければ取引主任者の登録を受けることができない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「宅地建物取引業者は,媒介契約を締結するに当たり,宅地又は建物を売買すべき価額又は評価額について意見を述べる場合は,取引主任者をしてその根拠を明らかにして行わせなければならない。」 |
【正解:×】 ◆価額・評価額について意見を述べるときは根拠を明らかにする 宅建業者が,宅地・建物の売買・交換の媒介契約をするときに,媒介する宅地・建物の価額や評価額について意見を述べるときには,求められなくてもその根拠を明らかにしなければいけません(宅建業法・34条の2・第2項)。 しかし,<取引主任者をしてその根拠を明らかにして行わせなければならない>という規定はないので,本肢は誤りです。
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2.「宅地建物取引業者は,業務に従事する者15人,うち専任の取引主任者3人が勤務する事務所で,専任の取引主任者のうち1人の取引主任者証の有効期限が満了したまま2週間が経過した場合には,業務の停止処分を受けることがある。」 |
【正解:○】 ◆専任の主任者が不足して2週間以内に補充しないと業務停止処分 <業務に従事する者15人,うち専任の取引主任者3人>は,従事者5人に1人以上という規定を満たしていますが,専任の主任者1人の取引主任者証の有効期限が満了して更新の手続をしなければその者は取引主任者とはいえないので,このままでは法定設置数を満たさないことになります。 専任の取引主任者数に不足が生じたときは2週間以内に補充しなければならない(宅建業法・15条3項)ので,専任の取引主任者のうち1人の取引主任者証の有効期限が満了したまま2週間が経過するとこの規定に抵触することになります。 宅建業者が専任の取引主任者数に不足が生じた場合に2週間以内に補充しないときは,免許権者は,当該宅建業者に対して,1年以内の期間を定めて,全部または一部の業務停止を命ずることができるので,本肢は正しい記述です(宅建業法・65条2項2号)。
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3.「取引主任者証の交付を受けていない取引主任者資格者が宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明を行い,書面に記名,押印した場合で,情状が特に重いときは,その者は事務の禁止処分を受けることがある。」 |
【正解:×】 ◆資格者が取引主任者としての事務を行う ⇒ 登録消除処分 取引主任者証の交付を受けていない者は取引主任者ではないので (都道府県知事の登録を受けた者であるのに過ぎない),取引主任者が受ける事務禁止の処分を受けるはずがありません。したがって,本肢は誤りです。 登録を受けているだけの者が取引主任者としてすべき事務を行い,情状が特に重いときは,都道府県知事はその者の登録を消除することができます(宅建業法・68条2項3号)。
▼取引主任者証の交付を受けていない者が重要事項説明を行い,書面に記名押印した場合,その者が従事している宅建業者は取引主任者に重要事項説明をさせなかったことになるので,業務停止処分を受けることがあります(宅建業法・65条2項2号)。 |
4.「業務停止処分に違反したとして免許の取消処分の聴聞の公示をされ,その公示の日から処分決定をする日までの間に相当な理由がなく廃業の届出をした者は,その公示の日から5年間を経過しなければ取引主任者の登録を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆免許取消処分の聴聞の公示後に,相当の理由なく,廃業の届出をした者 「公示の日から5年」ではなく,『廃業の届出の日から5年』です。 聴聞の期日・場所 廃業の届出 処分決定 <免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示があった後に,処分をするかしないか決定する日までの間に,相当な理由なく廃業の届出があった宅建業者であった者は,その廃業の届出の日から5年を経過しなければ宅建業の免許を受けることができません(宅建業法・5条・1項・2号の2)。 上記の廃業の届出をした者は宅建業の免許の欠格要件に該当するだけでなく,取引主任者の欠格要件にも該当し,廃業の届出の日から5年を経過しなければ取引主任者の登録を受けることができません(宅建業法・18条・1項・4号の2)。 また,上記の廃業の届出をした者が取引主任者であった場合,都道府県知事は取引主任者の登録を消除しなければなりません(宅建業法・68条の2・1項・1号)。
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