宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 昭和61年・問39
実務経験・禁止期間満了後の登録の移転・聴聞の登録の消除・登録の基準(欠格要件)
取引主任者資格登録に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和61年・問39) |
1.「取引主任者資格試験に合格した者は,合格してから10年経過した場合においても,2年間の実務経験があれば当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。」 |
2.「取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受け,その禁止の期間が満了していない取引主任者は,都道府県知事が指定する講習を受けなければ登録の移転の申請をすることはできない。」 |
3.「都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が取引主任者として行うべき事務に関し,不正な行為をし,情状が特に重いときは,公開による聴聞を行わないで登録を消除することができる。」 |
4.「公職選挙法に違反して罰金の刑に処せられ,その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は,登録を受けることができない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「取引主任者資格試験に合格した者は,合格してから10年経過した場合においても,2年間の実務経験があれば当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。」 |
【正解:○】 ◆宅建合格+2年間以上の実務経験 ⇒ 登録申請 宅建試験に合格した者は,不正合格等で合格を取り消されない限り,合格は一生有効ですが,合格しただけでは登録を受けることはできません。 登録を受けるには, 1) 2年以上の実務経験を有するか,または 2) 国土交通大臣が実務経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者【宅地建物取引主任者資格登録に係る実務講習を修了した者,国・地方公共団体などで宅地建物の取得・処分の業務に2年以上従事した者など】 でなければいけません(宅建業法・18条1項,施行規則13条の15,同13条の16第1項1号,2項)。 |
●国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者 |
(法第18条第1項 の国土交通大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者) 第13条の16 法第18条第1項の規定により国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、次のいずれかに該当する者であることとする。 一 宅地又は建物の取引に関する実務についての講習であつて、国土交通大臣が指定するものを修了した者 二 国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者 三 国土交通大臣が前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者 |
2.「取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受け,その禁止の期間が満了していない取引主任者は,都道府県知事が指定する講習を受けなければ登録の移転の申請をすることはできない。」 |
【正解:×】 ◆事務禁止期間中は,登録の移転申請はできない 事務禁止の期間が満了しなければ,登録の移転を申請することはできません(宅建業法・19条の2但書)。 本肢は,意味的には,<事務禁止処分の期間中でも,都道府県知事が指定する講習を受ければ登録の移転を受けることができる>としているのと同じですから,誤りです。 ⇒ 都道府県知事が指定する講習は,主任者証の交付申請時,又は更新の申請時に行うものであって,本肢のような規定はない(宅建業法・22条の2・第2項,22条の3第2項)。
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3.「都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が取引主任者として行うべき事務に関し,不正な行為をし,情状が特に重いときは,公開による聴聞を行わないで登録を消除することができる。」 |
【正解:×】行政手続法13条1項の出題 ◆登録消除処分の前の聴聞 本肢は,宅建業法ではなく,行政手続法の出題です。 行政手続法では,宅建業者に対する免許取消処分,取引主任者に対する登録消除処分を行おうとするときは,意見陳述をさせるために,聴聞の手続をとらなければならないとしています(行政手続法13条1項)。 したがって,本肢は誤りです。 ▼国土交通大臣又は都道府県知事が,宅建業者に対して,指示処分又は業務停止処分をしようとするとき,または,都道府県知事が取引主任者に対して,指示処分又は事務禁止処分,をしようとするときは,弁明の手続ではなく,聴聞の手続をしなければなりません(宅建業法・69条(聴聞の特例))。 行政手続法13条1項の区分によれば,免許取消し・登録消除以外の処分は弁明の手続によることになりますが,宅建業法69条では,弁明ではなく,聴聞を行わなければならないとしました。
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4.「公職選挙法に違反して罰金の刑に処せられ,その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者は,登録を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆罰金刑−登録の欠格要件になるものとの区別 宅建業法,刑法〔傷害,現場助勢,暴行,凶器準備集合及び結集,脅迫,背任〕,暴力行為等処罰に関する法律,暴力団による不当な行為の防止等の法律に違反して,罰金の刑に処せられ,その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者<又は時効の完成等により刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者>は,取引主任者の資格登録を受けることができません(宅建業法・18条1項5号の2)。 しかし,上記以外のもので罰金刑に処せられても,登録の欠格要件には該当しないので,本肢は誤りです。 |