宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 昭和61年・問44
宅地建物取引業に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか(昭和61年・問44) |
1.「宅地建物取引業者は,営業保証金を事務所ごとにそれぞれ当該事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,営業保証金を供託すれば直ちに営業を開始することができるが,営業を開始した日から2週間以内に,供託をした旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
3.「宅地建物取引業者が破産した場合であっても,宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,営業保証金の還付を受けることができる。」 |
4.「宅地建物取引業者が宅地建物取引業に関して不正な取引をしたため免許を取り消されたときは,当該業者は供託した営業保証金を取り戻すことはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「宅地建物取引業者は,営業保証金を事務所ごとにそれぞれ当該事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆従たる事務所についての営業保証金⇒主たる事務所のもよりの供託所に供託 宅建業者は,政令で定める営業保証金<主たる事務所については1,000万円を,その他の事務所については事務所ごとに500万円>を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければいけません(宅建業法・25条1項,2項,施行令2条の3)。 したがって,<事務所ごとにそれぞれ当該事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。>とする本肢は誤りです。 |
2.「宅地建物取引業者は,営業保証金を供託すれば直ちに営業を開始することができるが,営業を開始した日から2週間以内に,供託をした旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:×】 ◆事業の開始 本肢のような規定はありません。 宅建業者は,営業保証金を供託し,その旨を届け出た後でなければ,事業を開始してはいけません(宅建業法・25条4項・5項)。⇒ これは新設した支店についても同じです(宅建業法・26条2項)。 ▼供託した後何日以内に供託した旨の届出をしなければならないという規定はありませんが,供託の届出をしないときの規定は下記のようになっています。↓ |
●供託の届出をしないとき | ||
宅建業者が,免許を受けた日から3ヵ月以内に営業保証金の供託をした旨の届出をしないときは,免許権者はその届出をすべき旨の催告をしなければならず(宅建業法・25条6項),その催告から1ヵ月以内に宅建業者が届出をしないときは,免許権者は当該宅建業者の免許を取り消すことができます(宅建業法・25条7項)。
|
3.「宅地建物取引業者が破産した場合であっても,宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,営業保証金の還付を受けることができる。」 |
【正解:○】 ◆宅建業者が破産しても,営業保証金の還付を受けることができる 宅地建物取引業者が破産した場合であっても,宅建業者と宅建業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,営業保証金の還付を受けることができます(宅建業法・27条1項,営業保証金規則1条)。 |
4.「宅地建物取引業者が宅地建物取引業に関して不正な取引をしたため免許を取り消されたときは,当該業者は供託した営業保証金を取り戻すことはできない。」 |
【正解:×】 ◆免許取消しでも営業保証金を取り戻すことができる 免許取消し処分を受けても,処分前に行った契約に基づく取引を結了し,公告をした上で6月を下らない一定期間内に権利を有する者の申出がない場合には,営業保証金の取り戻しをすることができる(宅建業法・30条1項・2項,76条)ので,本肢は誤りです。
▼営業保証金を取り戻す事由が発生してから10年を経過すると,営業保証金の取り戻しをすることはできなくなります(宅建業法・30条2項)。 ▼免許が取り消されても,当該宅建業者であった者またはその一般承継人は,締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では,なお宅建業者とみなされます(宅建業法・76条)。 |