宅建業法 実戦篇

保証協会の過去問アーカイブス 昭和61年・問45 


宅地建物取引業保証協会 (以下この問において「保証協会」という。) に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和61年・問45)

1.「保証協会は,社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負うが,この義務は,当該社員が社員となる前に宅地建物取引業に関して取引をした者が有する債権には及ばない。」

2.「研修は,保証協会が必ず実施しなければならない業務の一つであるが,この研修は,現に宅地建物取引業の業務に従事している者のほか,従事しようとする者に対しても行うことができる。」

3.「保証協会は,宅地建物取引業者のみを社員とする一般社団法人のうちから国土交通大臣が指定したものである。」

4.「保証協会は,必須業務としての弁済業務等のほか,あらかじめ国土交通大臣の承認を受ければ一般保証業務を行うことができる。」

【正解】

×

1.「保証協会は,社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負うが,この義務は,当該社員が社員となる前に宅地建物取引業に関して取引をした者が有する債権には及ばない。」

【正解:×

◆社員となる前に取引した者の有する債権も弁済する

 保証協会は,その社員と宅地建物取引業に関し取引をした者の有するその取引により生じた債権に関し弁済をする業務を実施しますが,当該社員が社員となる前に宅建業に関し取引をした者の有する債権にも及ぶので(宅建業法・64条の3・第1項・3号),本肢は誤りです。

 KEY 

             保証協会の弁済業務
                  ↓
    社員となる前に宅建業に関し取引をした者の有する債権にも及ぶ。

    ただし,還付を受けられるのは,保証協会の社員でない場合に供託
    しなければならない
営業保証金の範囲内で,保証協会の認証した額

2.「研修は,保証協会が必ず実施しなければならない業務の一つであるが,この研修は,現に宅地建物取引業の業務に従事している者のほか,従事しようとする者に対しても行うことができる。」

【正解:

◆従事している者,従事しようとする者への研修業務

 保証協会が適正かつ確実に実施しなければならない業務としては,以下の三つがあります(宅建業法・64条の3・第1項)

1) 宅建業者の相手方等からの社員の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する苦情の解決
2) 取引主任者その他宅地建物取引業の業務に従事し、又は従事しようとする者に対する研修
3) 社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含む。)の有するその取引により生じた債権に関し弁済をする業務

     

 KEY 

 保証協会の研修業務

宅地建物取引業の業務に従事し,又は従事しようとする者への研修

3.「保証協会は,宅地建物取引業者のみを社員とする一般社団法人のうちから国土交通大臣が指定したものである。」

【正解:

◆国土交通大臣の指定

 保証協会は,次の要件を備えていることが必要で,申請により国土交通大臣が指定します(宅建業法・64条の2・第1項)

  1) 宅地建物取引業者のみを社員とすること。

  2) 一般社団法人であること。

  3) 保証協会の指定を取り消され,その取消しの日から5年を経過しない者でないこと。

  4) 申請者の役員のうちに一定の欠格要件 (宅建業者の欠格要件に該当する者,指定を取り消された保証協会の役員であった者など)に該当する者がないこと。

 KEY 

 保証協会は,国土交通大臣が指定する。

4.「保証協会は,必須業務としての弁済業務等のほか,あらかじめ国土交通大臣の承認を受ければ一般保証業務を行うことができる。」

【正解:

◆一般保証業務−あらかじめ国土交通大臣の承認が必要

 保証協会は,弁済業務取引に関する苦情の解決業務宅建業の業務に従事する者又は従事しようとする者への研修業務適正かつ確実に実施するとともに,一般保証業務手付金等保管事業を行なうことができますが(宅建業法・64条の3・第1項,第2項),あらかじめ,国土交通大臣の承認を受けなければなりません(宅建業法・64条の17,64条の17の2)

 KEY 

一般保証業務手付金等保管事業 

あらかじめ,国土交通大臣の承認を受けなければならない。

●一般保証業務
 社員である宅建業者との契約により,当該宅建業者が受領した支払金又は預り金の返還債務その他宅建業に関する債務を負うこととなった場合にその返還債務その他宅地建物取引業に関する債務を連帯して保証する業務(宅建業法・64条の3・第2項)

 ⇒ 手付金等の保管業務とは別であることに注意。


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