宅建業法 実戦篇
案内所等の規制の過去問アーカイブス 昭和61年・問50
案内所等の届出・帳簿・報酬の額の掲示・標識
甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者A,乙県の区域内で30戸の一団の建物の分譲を案内所を設置して行うこととした。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(昭和61年・問50) |
1.「Aは,当該案内所の所在地,業務内容及び業務を行う期間について,甲県知事又は乙県知事のどちらか一方に届け出なければならない。」 |
2.「Aは,当該案内所に,その業務に関する帳簿を備えておく必要はない。」 |
3.「Aは,当該案内所に,国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示する必要はない。」 |
4.「Aは,当該案内所に,国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。」 |
※案内所・・・この場合の「案内所」とは,特定の物件の契約又は申込みの受付等を行う場所とする。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「Aは,当該案内所の所在地,業務内容及び業務を行う期間について,甲県知事又は乙県知事のどちらか一方に届け出なければならない。」 |
【正解:×】 ◆案内所等の届出 甲県知事〔免許権者〕又は乙県知事〔案内所の所在地を管轄する知事〕のどちらか一方に届け出るのではなく,その両方に直接届け出なければならないので,本肢は誤りです。 一団の宅地建物の分譲を,専任の取引主任者の設置義務のある案内所等【契約行為等を行う案内所等】を設置して行おうとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければいけません。(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項) ※「一団の宅地建物の分譲」・・・10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲をいう。(宅建業法施行規則・6条の2・第2号)
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●事務所以外で専任の主任者の設置義務がある国土交通省令で定める場所 | ||||
事務所以外であっても,宅地建物の売買・交換の契約の締結,媒介代理契約の締結,契約の申込を受ける場所には,専任の取引主任者を置かなければならず(宅建業法・15条1項,施行規則・6条の2),以下の国土交通省令で定める場所を設置しようとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければいけません(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)。
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2.「Aは,当該案内所に,その業務に関する帳簿を備えておく必要はない。」 |
【正解:○】 ◆案内所等には,帳簿の備え付け義務はない 宅建業者は,その事務所ごとに,業務に関する帳簿を備え,宅建業に関する取引のあったつど,その年月日・その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法・49条)。 しかし,一団の宅地建物の分譲を案内所を設置して行う場合の案内所には,この帳簿の備え付け義務はありません。
▼案内所等には,従業者名簿の備え付け義務もありません(宅建業法・48条3項)。 |
3.「Aは,当該案内所に,国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示する必要はない。」 |
【正解:○】 ◆案内所等には,報酬額の掲示義務はない 宅建業者は,その事務所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通大臣の定めた報酬額を掲示しなければなりません(宅建業法・46条4項)。 しかし,一団の宅地建物の分譲を案内所を設置して行う場合の案内所には,この報酬額の掲示義務はありません。
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4.「Aは,当該案内所に,国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。」 |
【正解:○】 ◆標識の掲示義務 宅建業者は,その事務所等(国土交通省令で定める場所(案内所等)を含む。)や事務所等以外で国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに,公衆の見やすい場所に,国土交通省令で定める標識を掲示しなればなりません(宅建業法・50条1項,施行規則19条)。 標識の掲示は,当該宅建業者が免許を受けたものであることを取引の関係者などに明示するためのものであり,契約行為等を行う案内所等だけでなく,契約行為等を行わない案内所や一団の宅地建物を分譲する場合における当該宅地建物の所在する場所にも,標識を掲示しなればなりません(宅建業法・50条1項,施行規則19条)。
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●契約行為等を行う案内所等 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
契約行為等を行う案内所の設置・掲示・備え付けの義務は,以下の通りです。
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