宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 昭和62年・問40 

媒介契約での意見の根拠の明示・主任者の定義・記名押印


取引主任者に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和62年・問40)

1.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介を行うに当たり,当該宅地を売買すべき価額についてその根拠を明らかにして意見を述べるときは,取引主任者をして行わせなければならない。」

2.「取引主任者証の有効期間が満了しても,満了後2週間以内であれば宅地建物取引業者の従業者であることを示す証明書を提示すれば,取引主任者の事務を行うことができる。」

3.「宅地建物取引業法第35条第1項に定める重要事項の説明は,専任でない取引主任者でも行うことができるが,これらの事項を記載した書面に記名押印するのは,専任の取引主任者でなければならない。」

4.「宅地建物取引業者が売買契約の締結に際し,宅地建物取引業法第37条第1項に定める書面を作成したときは,当該書面に取引主任者の記名押印が必要とされている。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介を行うに当たり,当該宅地を売買すべき価額についてその根拠を明らかにして意見を述べるときは,取引主任者をして行わせなければならない。」

【正解:×

◆根拠の明示

 宅建業者は,宅地や建物の売買価額や評価額について意見を述べるときは,その根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法・34条の2第2項)

 しかし,意見を述べる人については宅建業法では特に規定はないので,誰がしても構いません。

 したがって,意見を述べるのに,取引主任者をして行わせなければならないという規定はないので,本肢は誤りです。

 KEY 

 根拠を明示せずに,価額等について意見を述べる

監督処分 1年以内の業務停止
              (情状が特に重いとき) 免許取消し

            罰則 なし

2.「取引主任者証の有効期間が満了しても,満了後2週間以内であれば宅地建物取引業者の従業者であることを示す証明書を提示すれば,取引主任者の事務を行うことができる。」

【正解:×

◆取引主任者証の有効期間満了し,更新しない ⇒ 取引主任者ではない

 取引主任者とは,取引主任者証の交付を受けた者をいい(宅建業法・15条1項),取引主任者証の有効期間が満了しているのに更新の手続をしていない場合は,取引主任者証の交付を受けていないことになるので,もはや取引主任者とはいえず,更新していない以上取引主任者の事務は一切することができません。

 本肢の<満了後2週間以内であれば>という規定は宅建業法にはなく,本肢は誤りです。

 KEY 

 取引主任者証の交付を受けていないのに
取引主任者の事務を行い,情状が特に重いとき

監督処分 知事は,登録を消除しなければならない。

3.「宅地建物取引業法第35条第1項に定める重要事項の説明は,専任でない取引主任者でも行うことができるが,これらの事項を記載した書面に記名押印するのは,専任の取引主任者でなければならない。」

【正解:×

◆重要事項の説明と記名押印−専任の取引主任者でなくてもよい

 重要事項の説明や35条書面の記名押印は,専任でない取引主任者でも行うことができます(宅建業法・35条1項,5項)

 本肢では,<記名押印するのは,専任の取引主任者でなければならない。>としていますが,誤りです。

 KEY 

 重要事項の説明や35条書面の記名押印

専任でない取引主任者でも行うことができる。

4.「宅地建物取引業者が売買契約の締結に際し,宅地建物取引業法第37条第1項に定める書面を作成したときは,当該書面に取引主任者の記名押印が必要とされている。」

【正解:

◆37条書面の記名押印

 宅建業者が売買契約等の締結時に交付する37書面には,取引主任者の記名押印が必要です(宅建業法・37条3項)

 37書面に記名押印するのも,専任の取引主任者である必要はなく,専任でなくても構いません。


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