宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 昭和62年・問41
宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和62年・問41) |
1.「宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出ることなく事業を開始した場合,実際に営業保証金を供託していても,業務停止又は免許取消しの処分を受けることがある。」 |
2.「国土交通大臣又は都道府県知事は,免許をした日から3月以内に宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは,直ちにその免許を取り消すことができる。」 |
3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失ったときは,当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたため営業保証金の額に不足を生じた旨の通知書の送付を受けたときは,その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出ることなく事業を開始した場合,実際に営業保証金を供託していても,業務停止又は免許取消しの処分を受けることがある。」 |
【正解:○】 ◆供託した旨を免許権者に届け出てから事業を開始 宅建業者は,営業保証金を供託した旨を免許権者に届け出た後でなければ,その事業を開始することはできません(宅建業法25条5項)。 供託した旨を免許権者に届け出ないで事業を開始した場合は,実際に営業保証金を供託していても,1年以内の業務停止処分や情状が特に重いときは免許取消しの処分を受けることがあります。
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2.「国土交通大臣又は都道府県知事は,免許をした日から3月以内に宅地建物取引業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは,直ちにその免許を取り消すことができる。」 |
【正解:×】 ◆供託した旨の届出がないときは催告した上で免許取消し可能−任意的取消事由 国土交通大臣又は都道府県知事は,免許をした日から3月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは,当該宅建業者に対して,供託した旨の届出をするように催告をし,この催告が到達した日から1月以内になお届出をしなかったときに免許を取り消すことができます(宅建業法25条6項,7項)。 免許をした日から3月以内に供託した旨の届出がないときに,直ちにその免許を取り消すことができるのではないので,本肢は誤りです。
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3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失ったときは,当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:○】 ◆保証協会の社員でなくなったとき−1週間以内に営業保証金を供託 宅建業者は,保証協会の社員の地位を失ったときは,その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法64条の15,25条4項)。
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4.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたため営業保証金の額に不足を生じた旨の通知書の送付を受けたときは,その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:○】 ◆営業保証金の還付−営業保証金の額に不足額 宅建業者と宅建業について取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,営業保証金について債権の弁済を受ける権利を有します(宅建業法27条1項)。 宅建業者は,上記の権利が実行され (営業保証金が還付され) たため営業保証金の額に不足を生じ,免許権者から通知書の送付を受けたときは,その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託し,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法28条1項,営業保証金規則4条)。
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