宅建業法 実戦篇

自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和62年・問47 

自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限


宅地建物取引業者は,自ら売主となって,宅地建物取引業者でない個人との間で,現在の所有に属している中古マンションの一室の売買契約を締結した。この場合において,宅地建物取引業法第33条の2 (自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限) の規定に違反しないものは,次の記述のうちどれか。(昭和62年・問47)

1.「との間において,売買契約 (予約を含む) は締結されていないが,が宅地建物取引業者である場合」

2.「との間において,売買契約 (予約を含む) は締結されていないが,が宅地建物取引業者でない場合」

3.「との間において,売買契約は締結されているが,手附金が授受されたのみで,代金決済の終わっていない場合」

4.「との間において,売買契約は締結されているが,その契約の効力の発生が条件に係るものである場合」

【正解】

違反する 違反する 違反しない 違反する

1.「との間において,売買契約 (予約を含む) は締結されていないが,が宅地建物取引業者である場合」

2.「との間において,売買契約 (予約を含む) は締結されていないが,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解:違反する

◆取得する契約を締結していないときは,宅建業者でない者と売買契約を締結することはできない

 は肢1,肢2とも,建物の所有者と売買契約を締結していないので,が宅建業者であるかないかには関係なく,宅建業者でない個人と当該建物について売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1項第1号)

 【肢1のケース】

 B
 宅建業者
 売買契約は
 締結されていない
 A
 自ら売主
 ⇒   個人
 (宅建業者ではない)

 【肢2のケース】

 B
 宅建業者
 ではない
 売買契約は
 締結されていない
 A
 自ら売主
 ⇒   個人
 (宅建業者ではない)

 KEY 

 他人物の売買

取得する売買契約 (予約を含む。) を締結していなければ,
宅建業者ではない者と,売買契約を締結することはできない。

相手方が宅建業者であるときには,この制限は適用されず,売買契約を締結することができます(宅建業法78条2項)。自ら売主の8種制限は,宅建業者間相互の取引では適用が除外されているからです。

3.「との間において,売買契約は締結されているが,手附金が授受されたのみで,代金決済の終わっていない場合」

【正解:違反しない

◆取得する契約を締結していれば,宅建業者ではない者と売買契約を締結できる

 との間で売買契約 (予約を含む。) が締結されていれば,手附金が授受されたのみで,代金決済が終わっていない場合でも,から取得できるのが明らかであるとみなし,は自ら売主として,宅建業者ではない個人と当該建物の売買契約を締結することができます。

 B
      
 売買契約を締結
 手附金の授受
 A
 自ら売主
 個人
 (宅建業者ではない)

 

4.「との間において,売買契約は締結されているが,その契約の効力の発生が条件に係るものである場合」

【正解:違反する

◆取得する契約が停止条件付契約のときは,宅建業者ではない者と売買契約を締結することはできない

 から当該建物を取得する契約が停止条件付であるときは,その条件が成就するまでの間は,は,宅建業者でない個人と当該建物について売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1項第1号)

 B
        
 停止条件付
 売買契約を締結
 A
 自ら売主
 ⇒   個人
 (宅建業者ではない)

 

 KEY 

 取得する契約が停止条件付の場合

宅建業者でない者と売買契約を締結することはできない。


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