宅建業法 実戦篇

自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和63年・問41 

自らの所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限 (他人物売買の制限)


は,その所有する土地の上にが建てた建物をから取得する契約を締結した。その契約には,「の移転先が3月以内に見つからない場合,本契約はその効力を発生しない。」との停止条件が付されていたが,の移転先が見つからない間に,は,自ら売主として,との間に当該土地及び建物の売買契約を締結した。この場合において,宅地建物取引業法の規定に違反するものは,次のうちどれか。(昭和63年・問41)

1.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

2.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

3.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

4.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解】

違反する 違反しない 違反しない 違反しない

●問題を解く視点
  B    −−−−−−  A   ⇒ C
 (所有者)  停止条件付    (売主)    (買主)
         売買契約
 宅建業者は,自ら売主として,自己の所有に属しない物件(他人物)を,宅建業者でない者と売買契約を締結することは,原則として,禁止されている。

 ただし,所有者と売買契約〔売買の予約契約でもよい〕を締結していれば,自ら売主として,宅建業者でない者と売買契約を締結できるが,所有者との売買契約が停止条件付であるときには,その条件が成就するまでの間は,宅建業者でない者と売買契約を締結することはできない(宅建業法33条の2第1項第1号)

【着目点】 は宅建業法に違反するか

・所有者が,宅建業者かどうかには関係ない。

の契約は停止条件付契約であり,<が宅建業者で,が宅建業者ではない者のとき>は違反するので,その組合せを探せばよい。

 ⇒ この組合せは肢1しかないので,容易に肢1を正解と判断できる。

1.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解:違反する

◆他人物売買の制限

 が宅建業者で,が宅建業者ではない者なので,は宅建業法には違反します(宅建業法33条の2第1項第1号)

 B
 宅建業者
 ではない
 停止条件付
 売買契約
 A
 自ら売主
 宅建業者
 ⇒   C
 宅建業者
 ではない

2.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解:違反しない

◆宅建業者でない者には宅建業法は適用されない。

 Aは宅建業者ではないので,他人物売買の制限は適用されず,宅建業法には違反しません。

 B
 宅建業者
 停止条件付
 売買契約
 A
 宅建業者
 ではない
 ⇒   C
 宅建業者
 ではない)

3.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解:違反しない

宅建業者でない者には宅建業法は適用されない。

 Aは宅建業者ではないので,他人物売買の制限は適用されず,宅建業法には違反しません。相手方が宅建業者であっても,このことは変わりません。

 B
 宅建業者
 ではない
 停止条件付
 売買契約
 A
 宅建業者
 ではない
 ⇒   C
 (宅建業者)

4.「が宅地建物取引業者で,が宅地建物取引業者でない場合」

【正解:違反しない

◆相手方が宅建業者

 相手方が宅建業者であるときには,他人物売買の制限は適用されないので,売買契約を締結することができます(宅建業法78条2項)

 したがって,は宅建業法には違反しません。

 B
 宅建業者
 ではない
 停止条件付
 売買契約
 A
 自ら売主
 宅建業者
 ⇒   C
 (宅建業者)


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