宅建業法 実戦篇
保証協会の過去問アーカイブス 昭和63年・問49
宅地建物取引業保証協会 (以下この問において「保証協会」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和63年・問49) |
1.「保証協会に加入しようとする者が弁済業務保証金分担金を納付する場合,国債証券,地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができる。」 |
2.「保証協会の社員が事業開始後新たに事務所を設置しようとする場合,その設置しようとする日までに,当該事務所につき政令で定める額の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは,その社員の地位を失う。」 |
3.「保証協会の社員が社員の地位を失ったとき,当該社員であった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,保証協会が公告で定めた6月を下らない一定期間内に,保証協会の認証を受けるための申出をすることができる。」 |
4.「保証協会は,社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負うが,この義務は,当該社員が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者が有する債権には及ばない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「保証協会に加入しようとする者が弁済業務保証金分担金を納付する場合,国債証券,地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができる。」 |
【正解:×】 ◆弁済業務保証金分担金の納付は現金納付 保証協会が弁済業務保証金を供託するときには,国土交通省令で定める有価証券をもって充てることができますが(宅建業法64条の7第3項 ; 25条3項の準用), 保証協会に加入しようとする者が弁済業務保証金分担金を納付する場合には有価証券で納付することはできず,現金で納付しなければなりません(宅建業法64条の9第1項)。 したがって,本肢は誤りです。
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2.「保証協会の社員が事業開始後新たに事務所を設置しようとする場合,その設置しようとする日までに,当該事務所につき政令で定める額の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは,その社員の地位を失う。」 |
【正解:×】 ◆支店を設置したときは,設置した日から2週間以内に分担金を納付 誤 : 「設置しようとする日まで」 ⇒ 正 : 「設置した日から2週間以内」 保証協会の社員が新たに事務所を設置したときは,その設置した日から2週間以内に,政令で定める額の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません(宅建業法64条の9第2項)。 もし,この期間内に納付しない場合は,社員の地位を失います(宅建業法64条の9第3項)。
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3.「保証協会の社員が社員の地位を失ったとき,当該社員であった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,保証協会が公告で定めた6月を下らない一定期間内に,保証協会の認証を受けるための申出をすることができる。」 |
【正解:○】 ◆公告で定めた期間内に認証の申出 保証協会は,社員が社員の地位を失つたときは,当該社員であった者との宅建業に関する取引により生じた債権に関し権利を有する者に対し,保証協会の規定による弁済を受けることのできる額について認証を受けるため,6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告しなければなりません(宅建業法64条の11第4項)。 ▼保証協会は,期間内に申出のなかつた債権に関しては,認証をすることはできません(宅建業法64条の11第5項)。
▼弁済を受ける権利は,<当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき政令で定める営業保証金の額に相当する額の範囲内>であることに注意してください(宅建業法64条の8第1項)。 |
4.「保証協会は,社員と宅地建物取引業に関し取引をした者が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負うが,この義務は,当該社員が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者が有する債権には及ばない。」 |
【正解:×】 ◆社員となる前に宅建業に関して取引した者の債権にも及ぶ 保証協会は,社員と宅建業に関し取引をした者が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負い,この義務は,当該社員が社員となる前に宅建業に関し取引をした者が有する債権にも及ぶ(宅建業法64条の8第1項)ので,本肢は誤りです。
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