宅建業法 実戦篇

営業保証金の過去問アーカイブス 昭和63年・問50


宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(昭和63年・問50)

1.「宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,国土交通大臣又は都道府県知事の認証を受けて,営業保証金の還付を受けることができる。」

2.「営業保証金の額は,主たる営業所及びその他の事務所ごとに,宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の保護を考慮して,政令で定める額とされている。」

3.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたため営業保証金の額に不足を生じたときは,その不足を生じた日から3月以内に不足額を供託しなければならない。」

4.「国土交通大臣及び都道府県知事が宅地建物取引業者の所在を確知できないためにその免許を取り消したときは,当該業者であった者は,営業保証金を取り戻すことができない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,国土交通大臣又は都道府県知事の認証を受けて,営業保証金の還付を受けることができる。」

【正解:×

◆営業保証金の還付 − 免許権者の認証は不要

 宅建業者と宅建業に関し取引をした者が,その取引により生じた債権に関し,営業保証金の還付を受けるには,供託規則や国土交通省令で定められた方法によります(宅建業法27条1項,2項)国土交通大臣又は都道府県知事の認証は必要ではないので,誤り。

 KEY 

営業保証金の還付 

国土交通大臣又は都道府県知事の認証は必要ではない

●対比●弁済業務保証金の還付

保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者が,その取引により生じた債権に関し,弁済業務保証金の還付を受けるには,弁済を受けることができる額について,保証協会の認証が必要です(宅建業法64条の8第2項)

2.「営業保証金の額は,主たる営業所及びその他の事務所ごとに,宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の保護を考慮して,政令で定める額とされている。」

【正解:

◆営業保証金の額

 営業保証金の額は,政令で定められており,主たる事務所につき1,000万円,その他の事務所につき事務所ごとに500万円です(宅建業法25条2項,施行令2条の4)

3.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたため営業保証金の額に不足を生じたときは,その不足を生じた日から3月以内に不足額を供託しなければならない。」

【正解:×

◆還付による不足額の供託 ⇒ 通知書の送付を受けた日から2週間以内

 営業保証金の還付により営業保証金の額に不足を生じたときは,免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません(宅建業法28条1項,営業保証金規則4条)

 KEY 

 営業保証金が還付されたため
営業保証金の額に不足を生じ,通知書が送付される 

送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託(28条1項)

供託した旨を2週間以内に免許権者に届け出る(28条2項)

4.「国土交通大臣及び都道府県知事が宅地建物取引業者の所在を確知できないためにその免許を取り消したときは,当該業者であった者は,営業保証金を取り戻すことができない。」

【正解:×

◆営業保証金の取戻し −所在不確知による免許取消し−

 国土交通大臣及び都道府県知事は,宅建業者の所在を確知できない場合,官報または都道府県の公報でその事実を公告し,その公告の日から30日を経過してもその宅建業者から申出がないときに,当該宅建業者の免許を取り消すことができます(宅建業法67条1項)任意的取消し事由

 この場合でも,権利を有する者に対して6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し,その期間内に申出がないときには,営業保証金を取り戻すことができる(宅建業法30条1項,2項)ので,本肢は誤りです。


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