宅建業法
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限 33条の2
他人物売買の禁止(1)
次の記述は,宅地建物取引業法の規定によれば,○か×か。 |
1.競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について,裁判所による競売の公告がなされた後,入札前に,自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することは,宅地建物取引業法の規定に違反する。(平成13年・問34・エ) |
2.宅地建物取引業者ではないBの所有する宅地について,Bと宅地建物取引業者Cが売買契約を締結し,所有権の移転登記がなされる前に,Cは宅地建物取引業者Aに転売し,Aは更に宅地建物取引業者ではないDに転売した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成17年・問35・肢1) |
3.宅地建物取引業者Aが,自ら売主となり,自己の所有に属しない建物について,宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成18年・問38・肢3) |
4.Gの所有する宅地について,宅地建物取引業者AはGとの売買契約の予約をし,Aは当該宅地を宅地建物取引業者ではないHに転売した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成17年・問35・肢3) |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | ○ |
1.競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について,裁判所による競売の公告がなされた後,入札前に,自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することは,宅地建物取引業法の規定に違反する。(平成13年・問34・エ) |
【正解:○】 ◆自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限 競売開始決定がなされた宅地について,競売で落札もしていないのに,自ら売主として宅建業者でない者と当該宅地の売買契約を締結することは,できません(宅建業法33条の2第1項1号)。 本肢は,自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限に違反します。
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2.宅地建物取引業者ではないBの所有する宅地について,Bと宅地建物取引業者Cが売買契約を締結し,所有権の移転登記がなされる前に,Cは宅地建物取引業者Aに転売し,Aは更に宅地建物取引業者ではないDに転売した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成17年・問35・肢1) |
【正解:○】 ◆所有権移転登記がなされていなくても,取得する契約を締結していれば,転売することができる B ― C (宅建業者)― A(宅建業者) ― D Cへの所有権移転登記がなされていなくても,CはBとの売買契約を締結しているので,Cに所有権は移転しています。(民法176条,物権変動は,当事者の意思表示によってのみ,その効力を生じる。当事者の特約によって物権変動の効力発生時期を民法176条と異なる時期にすることはできるが,このことまで考えて問題を解こうとすると,正誤の判定ができなくなるので,深入り厳禁。) また,さらに,CとAとの売買契約が締結されていれば,Aにその宅地の所有権は移っています。 したがって,Aが取得した宅地の前主であるCが移転登記を経ていないとしても,Aに所有権が移っている以上,Aが宅建業者ではないDと売買契約を締結するのは,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しません。 |
3.宅地建物取引業者Aが,自ら売主となり,自己の所有に属しない建物について,宅地建物取引業者である買主Bと建物の売買契約を締結した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成18年・問38・肢3) |
【正解:○】 ◆買主が宅建業者の場合,自ら売主の8種制限は適用されない 自己の所有に属しない物件について,宅建業者でない者と自ら売主として売買契約を締結することはできませんが,宅建業者間の取引には適用されないので(宅建業法33条の2,78条2項),本肢は宅建業法に違反しません。 |
4.Gの所有する宅地について,宅地建物取引業者AはGとの売買契約の予約をし,Aは当該宅地を宅地建物取引業者ではないHに転売した。これは,宅地建物取引業法の規定に違反しない。(平成17年・問35・肢3) |
【正解:○】 ◆所有者から取得する契約は予約契約でもよい G ――――――――― A(宅建業者) ―― H [AはHに転売] 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていれば,その契約が売買の予約であり,予約完結権を行使するまでの間であっても,Aが当該宅地を取得できるのが明らかなので,AがHに転売することは,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しません(宅建業法33条の2)。 |
●予約完結権を行使する前 |
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して,宅地に造成し,自ら売主となって,Cに分譲する場合において,AB間の契約が売買の予約である場合,Aは,予約完結権を行使するまでの間は,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。(平成5年・問39・肢1) |
【正解:×】 ◆売買の予約を締結した土地は売ることができる AB間の契約が売買の予約であり,Aが予約完結権を行使するまでの間であっても,宅建業者でないCと,売買契約を締結することができます。 |