税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成5年・問31


不当景品類及び不当表示防止法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成5年・問31)

1.「宅地建物取引業者が,未使用の建物について,新聞折込ビラで「新築」と表示する場合,建築後1年6ヵ月のものであれば,不当表示となるおそれはない。」

2.「宅地建物取引業者が,不動産取引について,自ら広告した物件の案内を拒否し,難点をことさらに指摘する等して,その物件の取引に応じることなく,顧客に他の物件を勧めた場合,不当表示となるおそれがある。」

3.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において,割賦による支払条件についての金利を表示する場合,アドオン方式による利率を記載しても,実質年率を記載しないときは,不当表示となるおそれがある。」

4.「宅地建物取引業者が,不動産の購入者に対してもれなく景品類を提供する場合,その景品類の価額が取引価額の1/10または100万円のいずれか低い価額の範囲内であれば,景品類の提供に関する制限に該当するおそれはない。」

【正解】

×

1.「宅地建物取引業者が,未使用の建物について,新聞折込ビラで「新築」と表示する場合,建築後1年6ヵ月のものであれば,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×平成元年,平成5年,平成8年,平成13年,

◆新築=建築後1年未満+未使用

 新築という文言は,建築後1年未満であって,使用されたことがないものであるという意味で用いることになっています。

 未使用であっても,建築後1年6ヵ月では『新築』と表示することはできません。

表示に関する公正競争規約

(特定用語の使用基準)
第18条 事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該各号に定める意義に即して使用しなければならない。

(1) 新築 建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。

(2) 新発売 新たに造成された宅地又は新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔物件の形質〕
(21) 増築、改築又は造作の取替えをした建物について、当該建物の全部又は取引しようとする部分が新築したものであると誤認されるおそれのある表示

2.「宅地建物取引業者が,不動産取引について,自ら広告した物件の案内を拒否し,難点をことさらに指摘する等して,その物件の取引に応じることなく,顧客に他の物件を勧めた場合,不当表示となるおそれがある。」

【正解:昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年,

◆おとり広告−取引する意思のない不動産−

 自ら広告しておきながら物件の案内を拒否し,難点をことさらに指摘する等して,その物件の取引に応じないというのは「取引する意思がない」ということです。

 宅建業法では,取引する意思のない物件について広告することはおとり広告であり,誇大広告として禁止されています。(宅地建物取引業法・32条)

 表示に関する公正競争規約でも,取引する意思のない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。

表示に関する公正競争規約

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

3.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において,割賦による支払条件についての金利を表示する場合,アドオン方式による利率を記載しても,実質年率を記載しないときは,不当表示となるおそれがある。」

【正解:昭和59年,平成5年,

◆割賦販売の条件について実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

 表示に関する公正競争規約では,割賦販売の条件について,実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示は禁止されており,実質年率を表示しなければならないとされています。

 アドオン方式による表示は見かけ上の金利が著しく低く見えるため,アドオン方式により金利を表示するときは必ず実質利率を付記するようにとの通達が出されたとがあります(建設省通達,昭和46.12.1)

表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔融資等の条件〕

(58) 割賦販売又は不動産ローンの条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

(59) ローン提携販売を行うものではないのに、ローン提携販売と誤認されるおそれのある表示

(60) 住宅金融公庫その他の公的機関の融資に係る条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

●不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則11条
 (物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔住宅ローン等〕
(44) 住宅ローン(銀行その他の金融機関が行う物件の購入資金及びこれらの購入に付帯して必要とされる費用に係る金銭の貸借)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 金融機関の名称若しくは商号又は都市銀行、地方銀行、信用金庫等の種類
イ 提携ローン又は紹介ローンの別
ウ 融資限度額
エ 借入金の利率及び利息を徴する方式(固定金利型、固定金利指定型、変動金利型、上限金利付変動金利型等の種別)又は返済例

(45) 割賦販売(代金の全部又は一部について、不動産の引渡後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 割賦販売である旨
イ 割賦限度額
ウ 利息の料率(実質年率)
エ 支払期間及び回数
オ 割賦販売に係る信用調査費その他の費用を必要とするときは、その旨及びその額

(46) 住宅ローンの返済例を表示する場合において、ボーナス併用払のときは、1か月当たりの返済額の表示に続けて、ボーナス時に加算される返済額を明示すること。

4.「宅地建物取引業者が,不動産の購入者に対してもれなく景品類を提供する場合,その景品類の価額が取引価額の1/10または100万円のいずれか低い価額の範囲内であれば,景品類の提供に関する制限に該当するおそれはない。」

【正解:昭和57年,昭和59年,平成5年,平成6年,平成12年,

◆懸賞によらないで提供する景品類

 懸賞によらないで提供する景品類の最高額は,不動産業の場合は,取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い金額の範囲内と定められています。(景品に関する公正競争規約・3条1項2号)

●不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約
(一般消費者に対する景品類の提供の制限)

第3条 事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。

(1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。

(2) 懸賞によらないで提供する景品類にあっては、取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い価額の範囲

2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、懸賞によらないで提供するときは、前項の規定を適用しない

(1) 不動産の取引又は使用のため必要な物品便益その他の経済上の利益であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

(2) 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

3 第1項第1号の規定にかかわらず、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第4項の規定(共同懸賞)に該当する景品類の提供については、同項の定めるところによるものとする。


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