税法その他 実戦篇

住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 平成6年・問31 


住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成6年・問31)

1.「住宅金融公庫から業務委託を受けた金融機関は,貸付けに関する申込みの受理,審査及び貸付けの決定をすることができる。」

2.「住宅金融公庫の住宅宅地債券を引き受けた自ら居住するため住宅を必要とする者は,通常の貸付限度額を超える額の貸付けを受けることができる。」

3.「貸付金利は,貸付けを受ける者の所得又は住宅の規模によって,通常の貸付金利よりも高くなることがある。」

4.「貸付けを受けた者が貸付金を貸付けの目的以外に使用したときは,住宅金融公庫は,いつでも貸付金の繰上償還を請求することができる。」

【正解】

×

1.「住宅金融公庫から業務委託を受けた金融機関は,貸付けに関する申込みの受理,審査及び貸付けの決定をすることができる。」

【正解:×平成6年,13年,<関連>16年,

◆金融機関への委託

 住宅金融公庫は,金融機関に対し,貸付けの決定を除く次の業務を委託することができます。本肢は,<貸付の決定>が入っているので誤りです。

●主務省令で定める金融機関
イ 貸付けに関する申込みの受理及び審査

ロ 資金の貸付け、元利金の回収その他貸付け及び回収に関する業務

ハ 貸付手数料及び支払方法変更手数料の徴収

ニ 貸付金の回収に関連して取得した動産、不動産又は所有権以外の財産権の管理及び処分

●主務省令で定める金融機関その他政令で定める法人 
イ 譲り受けた貸付債権に係る元利金の回収その他回収に関する業務

ロ イに規定する元利金の回収に関連して取得した動産、不動産又は所有権以外の財産権の管理及び処分

●保険法第2条第3号 に定める金融機関

イ 特定保険関係が成立した貸付けについて商法第662条第1項 の規定に基づき取得した貸付債権に係る元利金の回収その他回収に関する業務

ロ イに規定する元利金の回収に関連して取得した動産、不動産又は所有権以外の財産権の管理及び処分

2.「住宅金融公庫の住宅宅地債券を引き受けた自ら居住するため住宅を必要とする者は,通常の貸付限度額を超える額の貸付けを受けることができる。」

【正解:昭和59年,平成6年,平成12年,

貸付限度額−住宅宅地債権を引き受けて自ら居住するため住宅を必要とする者

 『住宅積立郵便貯金の預金者』や『住宅宅地債券を引き受けた自ら居住するため住宅を必要とする者(その相続人を含む。)で主務省令で定めるもの』に対しては,

  一戸当たりの貸付金の限度は,政令で定める金額を加算した金額になり,
  この加算金額に係る貸付金の利率は,公庫が定める。

 優遇措置をとることになっています。(住宅金融公庫法・22条の3第1項,第3項,第4項)

住宅積立郵便貯金の預金者又は住宅宅地債券を引き受けた自ら居住する住宅の改良を行う者(その相続人を含む。)で主務省令で定めるものについても,政令で定める金額を加算した金額が貸付金の限度額になります。(住宅金融公庫法・22条の3第2項)

3.「貸付金利は,貸付けを受ける者の所得又は住宅の規模によって,通常の貸付金利よりも高くなることがある。」

【正解:利率の出題 昭和56年,58年,59年,平成3年,4年,6年,11年,15年,

◆貸付金利

 貸付金の利率は次の表のように,区分に応じて定めています。(住宅金融公庫法・21条1項・表1項)

 ― 当初期間 当初期間後
住宅の構造その他の主務省令で定める事項について
主務省令で定める基準に適合する住宅
5.5%以内 7.5%以内
上記以外の住宅 6.5%以内

 ※各区分の利率は,その範囲内で公庫が定める率になっている。

 貸付金の利率は,この範囲内で,住宅の建設・購入が促進されるように,公庫が決定します。現在の公庫の融資では,住宅を購入する場合の貸付金の利率は,床面積・バリアフリー・省エネルギー・住宅の性能・築年数・購入価額・貸付を受ける者の収入によっても異なっています。

当初期間」・・・貸付けの日から起算して10年を経過する日までの期間

4.「貸付けを受けた者が貸付金を貸付けの目的以外に使用したときは,住宅金融公庫は,いつでも貸付金の繰上償還を請求することができる。」

【正解:平成6年,10年

◆貸付金の目的外使用は禁止

 貸付を受けた者は,貸付金を貸付の目的以外の目的に使用してはならず(住宅金融公庫法・34条1項),貸付金を目的以外に使用したときは,公庫は,いつでも貸付金の繰上げ償還を請求することができます。(住宅金融公庫法・21条の4第3項・3号)

 住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還です。しかし,次のいずれかに該当する場合,住宅金融公庫は,貸付けを受けた者に対し,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができます。(住宅金融公庫法21条の4・3項)

1 貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかつたとき,又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。

2 貸付けを受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅、土地その他の不動産に係る租税その他の公課を滞納したとき。

3 貸付けを受けた者が貸付金貸付けの目的以外の目的に使用したとき

4 貸付金に係る住宅、土地その他の不動産、借地権を他人に譲渡したとき

5 貸付金に係る住宅が貸付けの際定められた用途以外の用途に供せられたとき

6 貸付けを受けた者が正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき等。

上記により貸付金の償還を請求したにもかかわらず,償還をなすべき者が償還を怠った場合,公庫は,当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行することになります。(住宅金融公庫法21条の4・4項)

●住宅金融公庫法34条1項
(貸付金の使途の規正)
第34条
 貸付を受けた者は、貸付金を貸付の目的以外の目的に使用してはならない。

2  公庫は、貸付金が貸付けの目的以外の目的に使用されることを防止するために、必要に応じて、貸付金をもつて建設し、若しくは改良を行う住宅、幼稚園等、関連利便施設、災害復興住宅、地すべり等関連住宅若しくは合理的土地利用耐火建築物等の工事施行者又は貸付金をもつて造成する土地、貸付金をもつて整備する関連公共施設若しくは貸付金をもつて行う宅地防災工事の工事施行者に対し、直接に資金を交付する等資金の交付に関し適切な措置をとることができる。


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