税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成6年・問32 


不当景品類及び不当表示防止法 (以下この問において「景品表示法」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成6年・問32)

1.「不動産関係団体は,不動産の表示に関する事項について公正競争規約を設定することができるが,この公正競争規約に違反した者に対しては,景品表示法上の課徴金の納付が命じられる。」

2.「内閣総理大臣は,景品表示法第4条 (不当な表示の禁止) の規定に違反する行為があるときは,当該事業者に対して措置命令をすることができるが,当該違反行為が既になくなっているときは,することができない。」

3.「宅地建物取引業者は,不動産の購入者に対して景品を提供をする場合,抽選により提供するものであれば,景品の最高額について制限を受けることはない。」

4.「宅地建物取引業者は,中古住宅の販売広告において建築経過年数を表示する場合,当該住宅の一部増築を行った年から起算して表示することはできない。」

【正解】

× × ×

1.「不動産関係団体は,不動産の表示に関する事項について公正競争規約を設定することができるが,この公正競争規約に違反した者に対しては,景品表示法上の課徴金の納付が命じられる。」

【正解:×

◆表示規約の違約金

 事業者又は事業者団体は,景品類又は表示に関する事項について,内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて,不当な顧客の誘引を防止し,公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し,又は設定・変更することができます。〔内閣総理大臣及び公正取引委員会は,認定したときは,告示しなければいけません。〕(景品表示法11条1項,4項)

 不動産業の事業者団体〔不動産公正取引協議会;連合会。不動産公正取引協議会は、北海道・東北・首都圏・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州(沖縄を含む)の9区域で設立。〕は,この規定に基づき,表示と景品類についての公正競争規約を定めています。

 公正取引協議会は,表示規約の規定に違反する行為があると認めるときは,当該違反行為を行った事業者に対し,当該違反行為を排除するために必要な措置を直ちに採るべきこと及び違反する行為を再び行ってはならないことを警告し,又は50万円以下の違約金を課すことができます。(表示に関する公正競争規約・27条1項)

●表示に関する公正競争規約
(違反に対する措置)
第27条 公正取引協議会は、第5条及び第8条から第23条までの規定に違反する行為があると認めるときは、当該違反行為を行った事業者に対し、当該違反行為を排除するために必要な措置を直ちに採るべきこと並びに第5条及び第8条から第23条までの規定に違反する行為を再び行ってはならないことを警告し、又は50万円以下の違約金を課すことができる。

2 事業者は、前項に規定する警告を受けたときは、当該警告の内容である措置を直ちに実施し、又は当該警告の内容に反する行為を行ってはならない。

3 公正取引協議会は、事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該事業者に対し、500万円以下の違約金を課し、公正取引協議会の構成員である資格を停止し、除名処分をし、又は消費者庁長官に対し、必要な措置を講ずるよう求めることができる。

4 公正取引協議会は、第1項及び前項に規定する措置(警告を除く。)を採ろうとするときは、当該事業者に対し、あらかじめ期日及び場所を指定し、並びに事案の要旨及び規約の適用条項を示して事情聴取をしなければならない。事情聴取に際しては、当該事業者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。

5 公正取引協議会は、事業者が正当な理由なく事情聴取の期日に出席せず、かつ、再度指定した事情聴取の期日にも出席しない場合は、前項の規定にかかわらず、事情聴取を経ないで措置を講ずることができる。

6 公正取引協議会は、事業者が前条第4項の警告に従っていないと認めるときは、当該事業者に対し、50万円以下の違約金を課すことができる。

7 公正取引協議会は、事業者が第5条及び第8条から第23条までの規定に違反する行為を行った場合において、当該事業者が所属する団体による指導その他の措置を講ずることが適当であると認めるときは、当該団体に対し、必要な措置を講ずるよう求めることができる。

8 公正取引協議会は、第1項、第3項又は第6項の規定による措置を講じたときは、その旨を文書をもって遅滞なく消費者庁長官に報告するものとする。

2.「内閣総理大臣は,景品表示法第4条 (不当な表示の禁止) の規定に違反する行為があるときは,当該事業者に対して措置命令をすることができるが,当該違反行為が既になくなっているときは,することができない。」

【正解:×昭和60年,平成4年,平成6年,

◆違反行為がなくなっている場合でも,措置命令を出すことができる

 内閣総理大臣は,『不当な表示の禁止』や『景品類の制限及び禁止』について違反行為があるときは,当該違反行為が既になくなっている場合でも事業者に対し措置命令(その行為の差止め,その行為が再び行われることを防止するために必要な事項など)をすることができます(景品表示法6条1項)

 違反行為が既になくなっているといっても,不当な表示をしたことには変わりはなく,再発防止の措置も命じることができるからです。

措置命令・・・当該事業者に対し,その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずること。

3.「宅地建物取引業者は,不動産の購入者に対して景品を提供をする場合,抽選により提供するものであれば,景品の最高額について制限を受けることはない。」

【正解:×昭和57年,昭和59年,平成5年,平成6年,平成12年,

◆懸賞により提供する景品類も最高額の制限を受ける

 抽選などの懸賞により提供する景品類も最高額について制限を受けます。

 懸賞により提供する景品類は,取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲であり,かつ,提供できる景品類の総額は,当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内となっています。(景品に関する公正競争規約・3条1項1号)

●不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約
(一般消費者に対する景品類の提供の制限)

第3条 事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。

(1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。

(2) 懸賞によらないで提供する景品類にあっては、取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い価額の範囲

2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、懸賞によらないで提供するときは、前項の規定を適用しない

(1) 不動産の取引又は使用のため必要な物品便益その他の経済上の利益であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

(2) 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

3 第1項第1号の規定にかかわらず、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第4項の規定(共同懸賞)に該当する景品類の提供については、同項の定めるところによるものとする。

4.「宅地建物取引業者は,中古住宅の販売広告において建築経過年数を表示する場合,当該住宅の一部増築を行った年から起算して表示することはできない。」

【正解:昭和61年,平成6年,

◆建築の経過年数

 「建物の建築経過年数又は建築年月について,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示」は,表示に関する公正競争規約で禁止されています。

表示に関する公正競争規約

第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(18) 建物の建築経過年数又は建築年月について、実際のものよりも経過年数が短い又は建築年月が新しいと誤認されるおそれのある表示

(21) 増築、改築又は造作の取替えをした建物について、当該建物の全部又は取引しようとする部分が新築したものであると誤認されるおそれのある表示


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