税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成7年・問32 


不当景品類及び不当表示防止法 (以下この問において「景品表示法」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成7年・問32)

1.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において最寄駅から物件までの徒歩所要時間を記載する場合,徒歩所要時間の表示は,価格に関する表示ではないので,景品表示法の規制を受けることはない。」

2.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において最寄駅を記載する場合,鉄道会社が新設予定の駅について,開設時期を明らかにして公表していたとしても,開業後でなければ新設予定駅を最寄駅として表示することはできない。 」

3.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した新聞折込みビラにより不動産の販売広告を行った場合であっても,その内容が景品表示法に違反するものであれば,当該宅地建物取引業者が同法の規制を受けることになる。 」

4.「宅地建物取引業者が,高圧線下にある宅地の販売を広告するに当たり,土地の利用に制限があっても,建物の建築に支障がなければ,高圧線下である旨を表示しなくてもよい。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において最寄駅から物件までの徒歩所要時間を記載する場合,徒歩所要時間の表示は,価格に関する表示ではないので,景品表示法の規制を受けることはない。」

【正解:×平成2年,平成7年,平成13年,平成15年,

◆徒歩による所要時間

 景品表示法の目的は,商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び不当な表示による顧客の誘引を防止するために,

事業者間の公正な競争を確保し,
一般消費者の利益を保護すること

 です。(景品表示法・2条)

 景品表示法の規制対象は,広告の価格についての表示だけではありません。徒歩による所要時間の表示も規制を受けます。

 表示に関する公正競争規約では,徒歩による所要時間は,道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示することになっています。〔1分未満の端数が生じたときは1分として計算する。〕(表示に関する公正競争規約施行規則・11条10号)

●表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔交通の利便性〕
(3) 電車、バス等の交通機関を利用する場合の利便性について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

(4) 電車、バス等の交通機関又は自動車若しくは自転車による場合の所要時間について、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示

(5) 徒歩による場合の所要時間について、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示

〔各種施設までの距離〕
(6) 物件の所在地から駅その他の施設までの距離について、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示

2.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において最寄駅を記載する場合,鉄道会社が新設予定の駅について,開設時期を明らかにして公表していたとしても,開業後でなければ新設予定駅を最寄駅として表示することはできない。 」

【正解:×平成元年,平成7年,平成12年,平成14年,

◆新設予定の駅

 新設予定の駅は,当該路線の運行主体が公表したものに限り,その新設予定時期を明らかにして表示することができます。

表示に関する公正競争規約・施行規則

(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

(4)  公共交通機関は、現に利用できるものを表示し、特定の時期にのみ利用できるものは、その利用できる時期を明示して表示すること。ただし、新設の路線については、現に利用できるものと併せて表示する場合に限り、路線の新設に係る国土交通大臣の許可処分又はバス会社等との間に成立している協定の内容を明示して表示することができる

(5) 新設予定の鉄道、都市モノレールの駅若しくは路面電車の停留場(以下「駅等」という。)又はバスの停留所は、当該路線の運行主体が公表したものに限り、その新設予定時期を明示して表示することができる。

3.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した新聞折込みビラにより不動産の販売広告を行った場合であっても,その内容が景品表示法に違反するものであれば,当該宅地建物取引業者が同法の規制を受けることになる。 」

【正解:昭和58年,昭和61年,平成7年,

◆広告の主体が規制対象になる

 広告が景品表示法に抵触する場合,誰がその広告を作成しようと,広告として表示している事業者が行為者として,景品表示法上の責任を問われます。

●表示に関する公正競争規約
(事業者の責務)
第2条 事業者は、不動産広告の社会性にかんがみ、深くその責任を自覚し、この規約を遵守することはもとより、社会的・経済的諸事情の変化に即応しつつ、常により適正な広告その他の表示をするよう努めなければならない。

(広告会社等の責務)
第3条 事業者から広告制作の依頼を受けた広告会社等は、不動産広告の社会性にかんがみ、深くその社会的な責任を認識し、この規約の趣旨にのっとり、一般消費者の適正な選択に資する広告を制作するよう努めなければならない。

4.「宅地建物取引業者が,高圧線下にある宅地の販売を広告するに当たり,土地の利用に制限があっても,建物の建築に支障がなければ,高圧線下である旨を表示しなくてもよい。」

【正解:×昭和61年,平成3年,平成7年,平成14年,

◆高圧線下にある土地−特定事項の明示義務

 高圧電線路下にある場合は,高圧電線路下にある旨とその面積,建築が禁止されているときはその旨を表示しなければいけません。(表示規約施行規則・9条8号)

  建物の建築に支障がないとしても,土地の利用に制限があるわけですから,それを広告で表示しないのは不当表示になります。

■表示規約(特定事項の明示義務)
第13条 事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字規則第10条により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない。

■施行規則

(特定事項の明示義務)
第9条 規約第13条(特定事項の明示事項)に規定する規則で定める「特定事項」は、次の各号に掲げる事項とし、それぞれ当該各号に定めるところにより表示する。

(8) 土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、その旨及びそのおおむねの面積を表示すること。この場合において、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、併せてその旨を明示すること。


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