税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成8年・問31


不当景品類及び不当表示防止法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成8年・問31)

1.「宅地建物取引業者が,傾斜地の割合が30パーセント以上の土地(別荘地等を除く。)を販売する際,住宅の建築に影響を及ぼさないときには,新聞折込ビラに傾斜地を含む旨を表示しなくても,不当表示となるおそれはない。」

2.「宅地建物取引業者が,実際には存在しない物件について,新聞折込ビラで広告をしても,広告の物件と同程度の物件を準備しておれば,不当表示となるおそれはない。」

3.「宅地建物取引業者が,未完成である建物を販売する際,新聞折込ビラに当該物件と規模,形質等が同一の建物の内部写真を用いても,当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示していれば,不当表示となるおそれはない。」

4.「宅地建物取引業者が,建築後1年経過している建物を販売する際,未使用であれば,新聞折込ビラで「新築」と表示しても,不当表示となるおそれはない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者が,傾斜地の割合が30パーセント以上の土地(別荘地等を除く。)を販売する際,住宅の建築に影響を及ぼさないときには,新聞折込ビラに傾斜地を含む旨を表示しなくても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×昭和58年,平成2年,平成8年,平成16年,

◆急傾斜地を含む宅地

 表示に関する公正競争規約では,分譲マンションなどを除いて,『傾斜地の割合がおおむね30パーセント以上の場合』や『傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合』は,傾斜地を含む旨,傾斜地の割合またはその面積を明瞭に表示する義務があるとしています。(表示に関する公正競争規約・施行規則9条10号)

 したがって,住宅の建築に影響を及ぼさないときであっても,傾斜地を含む旨を表示しなければならないので,本肢は誤りです。

表示に関する公正競争規約(特定事項の明示義務)

第13条 事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字規則第10条により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない。

表示公正規約・施行規則9条10号

 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。

●表示公正規約・施行規則

 (特定事項の明示義務)
第9条 規約第13条(特定事項の明示事項)に規定する規則で定める「特定事項」は、次の各号に掲げる事項とし、それぞれ当該各号に定めるところにより表示する。

(4) 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。

(7) 沼沢地、湿原又は泥炭地等については、その旨を明示すること。

(8) 土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、その旨及びそのおおむねの面積を表示すること。この場合において、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、併せてその旨を明示すること。

(9) 地下鉄の線路を敷設する場合等において、土地の全部又は一部の地下の範囲を定めた地上権が設定されているときは、その旨を表示すること。この場合において、地上権の行使のために土地の利用に制限が加えられているときは、併せてその旨を明示すること。

(10) 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。

(11) 土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地及び区画の地盤面が2段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示すること。

(12) 土地が擁壁によっておおわれないがけの上又はがけの下にあるときは、その旨を明示すること。

(13) 道路法(昭和27年法律第170号)第18条第1項の規定により道路区域が決定され、又は都市計画法第20条第1項の告示が行われた都市計画道路等の区域に係る土地についてはその旨を明示すること。

2.「宅地建物取引業者が,実際には存在しない物件について,新聞折込ビラで広告をしても,広告の物件と同程度の物件を準備しておれば,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年,

◆おとり広告−実際には存在しない物件−

 宅建業法では,実際には存在しない物件について広告することはおとり広告であり,誇大広告として禁止されています。(宅地建物取引業法・32条)

 表示に関する公正競争規約でも,実際には存在しない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。

 同程度の物件を準備しておいてもダメです。

表示に関する公正競争規約

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

3.「宅地建物取引業者が,未完成である建物を販売する際,新聞折込ビラに当該物件と規模,形質等が同一の建物の内部写真を用いても,当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示していれば,不当表示となるおそれはない。」

【正解:平成2年,(内部写真)平成8年,(外観写真)平成13年,

◆建築工事完了前の建物の内部写真

 建築工事完了前〔未完成〕のために建物の内部写真を用いることができないときは,

 写真に写される部分の規模、形質等が同一のもの

に限り,『他の建物の写真』を広告で用いることができます。

 この場合,『当該写真が他の建物のものである旨』を写真に接する位置に明示しなければなりません。(表示に関する公正競争規約施行規則・11条22号イ)

●不動産の表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔写真・絵図〕
(42) モデル・ルーム又は写真、コンピュータグラフィックス、見取図、完成図若しくは完成予想図による表示であって、物件の規模、形状、構造等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

■施行規則(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)

第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔写真・絵図〕
(22) 宅地又は建物の写真は、取引するものの写真を用いて表示すること。ただし、取引しようとする建物が建築工事の完了前である等その建物の写真を用いることができない事情がある場合においては、次に掲げるものに限り、他の建物の写真を用いることができる。この場合においては、当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示すること。

ア 取引しようとする建物と規模、形質及び外観が同一の他の建物の外観写真。この場合において、門塀、植栽、庭等が異なる場合は、その旨を明示すること。

イ 建物の内部写真であって、写真に写される部分の規模、形質等が同一のもの

(23) 宅地又は建物の見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。

4.「宅地建物取引業者が,建築後1年経過している建物を販売する際,未使用であれば,新聞折込ビラで「新築」と表示しても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×平成元年,平成5年,平成8年,平成13年,

◆新築=建築後1年未満+未使用

 新築という文言は,建築後1年未満であって,使用されたことがないものであるという意味で用いることになっています。

 未使用であっても,建築後1年経過している建物では『新築』と表示することはできません。

表示に関する公正競争規約

(特定用語の使用基準)
第18条 事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該各号に定める意義に即して使用しなければならない。

(1) 新築 建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。

(2) 新発売 新たに造成された宅地又は新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔物件の形質〕
(21) 増築、改築又は造作の取替えをした建物について、当該建物の全部又は取引しようとする部分が新築したものであると誤認されるおそれのある表示


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