税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成9年・問47 


宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち,不当景品類及び不当表示防止法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成9年・問47)

1.「総面積10へクタールの一団の団地を一括して分譲する際,当該団地ともよりの鉄道駅との間の距離として,その鉄道駅から最も近い当該団地内の地点までの距離の数値を表示するときは,不当表示となるおそれはない。」

2.「省エネルギー型のエアコンが2部屋に設置されている3LDKの住宅については,当該住宅のキャッチフレーズに「省エネ住宅」と表示しても,不当表示となるおそれはない。」

3.「私道負担部分が含まれている分譲宅地を販売する際,私道負担の面積が全体の面積の5%以下であれば,私道負担部分がある旨及びその面積を表示しなくても,不当表示となるおそれはない。」

4.「新築の建売住宅を販売する際,当該建売住宅の周辺地域で実際に販売された同規模の物件の販売価格を比較対照として用いて,それより若干安い当該建売住宅の販売価格を並列して表示しても,不当表示となるおそれはない。」

【正解】

× × ×

1.「総面積10へクタールの一団の団地を一括して分譲する際,当該団地ともよりの鉄道駅との間の距離として,その鉄道駅から最も近い当該団地内の地点までの距離の数値を表示するときは,不当表示となるおそれはない。」

【正解:

◆団地から各種施設までの距離又は所要時間

 団地と駅その他の施設との間の距離又は所要時間は,それぞれの施設ごとにその施設から最も近い当該団地内の地点を起点又は着点として算出した数値を表示することになっています。(表示に関する公正競争規約施行規則・11条9号)

●不動産の表示に関する公正競争規約 施行規則
(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)

第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔各種施設までの距離又は所要時間〕
(8) 道路距離又は所要時間を表示するときは、起点及び着点を明示して表示すること(他の規定により当該表示を省略することができることとされている場合を除く。)。

(9) 団地(一団の宅地又は建物をいう。以下同じ。)と駅その他の施設との間の距離又は所要時間は、それぞれの施設ごとにその施設から最も近い当該団地内の地点を起点又は着点として算出した数値を表示すること。ただし、当該団地を数区に区分して取引するときは、各区分ごとに距離又は所要時間を算出すること。

(10) 徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。

(11) 自転車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。

2.「省エネルギー型のエアコンが2部屋に設置されている3LDKの住宅については,当該住宅のキャッチフレーズに「省エネ住宅」と表示しても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×

◆省エネ住宅

 建物の保温・断熱性,遮音性,健康・安全性その他の居住性能について,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示は禁止されています。(表示に関する公正競争規約23条19号)

 「省エネ住宅」とは,国土交通省によって定められている省エネルギー基準に基づくものですから,単に「省エネルギー型のエアコンが2部屋に設置されている」だけでは「省エネ住宅」とはいえません。

●不動産の表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(19) 建物の保温・断熱性、遮音性、健康・安全性その他の居住性能について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

■施行規則
(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

(18) 遮音、断熱等を目的とした建築部材自体の性能を表示する場合において、実際の住宅内における遮音、断熱性能等がその構造等から当該部材自体の性能とは異なる可能性がある場合には、その旨を表示すること。

(20) 宅地の造成材料又は建物の建築材料について、これを強調して表示するときは、その材料が使用されている部位を明示すること。

3.「私道負担部分が含まれている分譲宅地を販売する際,私道負担の面積が全体の面積の5%以下であれば,私道負担部分がある旨及びその面積を表示しなくても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×平成3年,平成9年,

◆私道負担部分

 私道負担部分とは,売買の対象となる土地の一部に私道として使用しなければならない部分があることを意味しています。

 私道負担部分には建物が建てられないので,具体的にどのくらいの面積なのか表示されなければ,その土地に建てられる建物の建築面積がどのくらいなのかわかりません。

 このように,私道負担部分あることやその位置・面積について明確に知っておかないと購入するかどうかについても判断できません。

 本肢では,「私道負担の面積が全体の面積の5%以下であれば,私道負担部分がある旨及びその面積を表示しなくても,不当表示となるおそれはない。」としていますが,誤りです。

 私道負担の面積は,施行規則の別表1の14,別表3の9,別表4の13,別表5の9,別表11の16で明記すべき事項になっています(表示に関する公正競争規約施行規則4条1項)

4.「新築の建売住宅を販売する際,当該建売住宅の周辺地域で実際に販売された同規模の物件の販売価格を比較対照として用いて,それより若干安い当該建売住宅の販売価格を並列して表示しても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:×平成9年,14年,

◆不当な二重価格表示の禁止

 事業者は,物件の価格、賃料又はその他の費用について,実際のものよりも安いと誤認されるおそれのある表示をすることは禁止されています(表示に関する公正競争規約・23条44号)

 また,事業者は,物件の価格について、二重価格表示(実際に販売する価格(実売価格)にこれよりも高い価格(比較対照価格)を併記する等の方法により,実売価格に比較対照価格を付すことをいう。)をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはなりません。
(表示に関する公正競争規約・20条)

 周辺地域における当該物件と同程度の物件の価格との比較で安いというだけでは,不当表示になるおそれがあるので,本肢は誤りです。

●表示に関する公正競争規約・20条

(不当な二重価格表示)
第20条 事業者は、物件の価格、賃料又は役務の対価について、二重価格表示(実際に販売する価格(以下「実売価格」という。)にこれよりも高い価格(以下「比較対照価格」という。)を併記する等の方法により、実売価格に比較対照価格を付すことをいう。)をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない。


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