税法その他 実戦篇

建物の過去問アーカイブス 平成9年・問49 建築物の構造

隅柱を通し柱にしないとき・風圧力と壁量・鋼材と不燃材料・帯筋とあばら筋


建築物の構造に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成9年・問49)

1.「木造2階建の建築物で,隅柱を通し柱としない場合,柱とけた等との接合部を金物で補強することにより,通し柱と同等以上の耐力をもつようにすることができる。」

2.「平面形状が長方形の木造建築物の壁は,多くの場合張り間方向とけた行方向とで風圧力を受ける面積が異なるので,それぞれ所定の計算方式により算出して耐力壁の長さを決める必要がある。」

3.「鉄骨造は,自重が重く,靭性(粘り強さ)が大きいことから大空間を有する建築や高層建築の骨組に適しており,かつ,火熱による耐力の低下が比較的小さいので,鋼材を不燃材料等で被覆しなくても耐火構造とすることができる。」

4.「鉄筋コンクリート造における柱の帯筋やはりのあばら筋は,地震力に対するせん断補強のほか,内部のコンクリートを拘束したり,柱主筋の座屈を防止する効果がある。」

【正解】

×

●Attention!

1.「木造2階建の建築物で,隅柱を通し柱としない場合,柱とけた等との接合部を金物で補強することにより,通し柱と同等以上の耐力をもつようにすることができる。」

【正解:

◆木造 : 隅柱を通し柱としない場合

 階数が2以上の木造建築物では,隅柱またはこれに準じる柱は,通し柱〔1階から通して立てられた一本の柱〕としなければなりませんが,接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強すれば,通し柱としなくてもよいとされています(建築基準法施行令43条5項)

2.「平面形状が長方形の木造建築物の壁は,多くの場合張り間方向とけた行方向とで風圧力を受ける面積が異なるので,それぞれ所定の計算方式により算出して耐力壁の長さを決める必要がある。」

【正解:

◆木造 : 耐力壁の長さ

 木造建築物では,風圧力についても安全性を確保する必要があります。

 木造建築物では,建築物が張り間方向とけた行方向で風を受ける面積に応じ,所定の計算方式により算出した耐力壁の長さ〔壁量〕がそれぞれ定められています(建築基準法施行令46条等)

3.「鉄骨造は,自重が重く,靭性(粘り強さ)が大きいことから大空間を有する建築や高層建築の骨組に適しており,かつ,火熱による耐力の低下が比較的小さいので,鋼材を不燃材料等で被覆しなくても耐火構造とすることができる。」

【正解:×

◆鉄骨造 : 不燃材料で被覆

 鋼材は火熱に弱いので,耐火構造にするには,不燃材料等で覆う必要があります。

本肢では,<火熱による耐力の低下が比較的小さい>としています。この部分だけで誤りだということがわかります。

4.「鉄筋コンクリート造における柱の帯筋やはりのあばら筋は,地震力に対するせん断補強のほか,内部のコンクリートを拘束したり,柱主筋の座屈を防止する効果がある。」

【正解:

◆鉄筋コンクリート造 : 柱の帯筋・はりのあばら筋

 鉄筋コンクリート造では,コンクリートと鉄筋が互いに弱点を補強しあっています。コンクリートは圧縮力に耐え,鉄筋のうち,主筋は引張り力に耐え,柱の帯筋〔おびきん。フープ。柱の主筋に間隔を置いて巻きついている。〕はりのあばら筋〔スターラップ。はりの主筋に間隔を置いて巻きついている。〕は,せん断力に抵抗します。

柱に入っている鉄筋 ⇒ 「主筋」と「帯筋」がある。

はり〔梁〕に入っている鉄筋 ⇒ 「主筋」と「あばら筋」がある。


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