税法その他 実戦篇

住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 平成10年・問47 


住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成10年・問47)

1.「住宅金融公庫は,大部分が住宅部分であるマンションの共用部分の改良を行う管理組合に対して,その改良に必要な資金の貸付けを行うことができる。」

2.「住宅金融公庫は,年間の所得金額が1,200万円を超える者に対しては,住宅の建設に必要な資金の貸付けを行うことはない。」

3.「住宅金融公庫は,貸付けを受けた者が貸付金を貸付けの目的以外の目的に使用した場合に限り,いつでも貸付金の償還を請求することができる。」

4.「住宅金融公庫の住宅〔中高層耐火建築物内のものを除く。〕の建設に係る貸付金の最長償還期間は,耐火構造,準耐火構造又は木造 (耐久性基準に適合するもの) とも,同一ではない。」

【正解】

× × ×

1.「住宅金融公庫は,大部分が住宅部分であるマンションの共用部分の改良を行う管理組合に対して,その改良に必要な資金の貸付けを行うことができる。」

【正解:平成10年,15年

マンションの共用部分の改良に必要な資金の貸付

 住宅金融公庫は,住宅の改良を行う者に対し,その改良に必要な資金を貸し付けることができます。これはマンションの共用部分の改良についても適用されます。

 したがって,大部分が住宅部分であるマンションの共用部分の改良を行う管理組合法人に対しても,その改良に必要な資金の貸付けを行うことができます。(住宅金融公庫法・17条5項)

大部分が住宅部分ではない場合は,当該共用部分の改良に必要な資金のうち,その区分所有建物の中で住宅部分が占める割合に対応したものに限られます。

2.「住宅金融公庫は,年間の所得金額が1,200万円を超える者に対しては,住宅の建設に必要な資金の貸付けを行うことはない。」

【正解:×

◆所得制限はない

 年間の所得金額によって,貸付金利の利率が異なることはありますが,住宅の建設や購入のための貸付を受けることができないということはないので,本肢は誤りです。

3.「住宅金融公庫は,貸付けを受けた者が貸付金を貸付けの目的以外の目的に使用した場合に限り,いつでも貸付金の償還を請求することができる。」

【正解:×平成6年,10年

◆繰上げ償還−貸付金の使途の近視

 貸付を受けた者は,貸付金を貸付の目的以外の目的に使用してはならず(住宅金融公庫法・34条1項),貸付金を目的以外に使用したときは,公庫は,いつでも貸付金の繰上げ償還を請求することができます。(住宅金融公庫法・21条の4第3項・3号)

◆繰上げ償還  

  住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還です。しかし,次のいずれかに該当する場合,住宅金融公庫は,貸付けを受けた者に対し,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができます。(住宅金融公庫法21条の4・3項)

1 貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかつたとき,又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。

2 貸付けを受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅、土地その他の不動産に係る租税その他の公課を滞納したとき。

3 貸付けを受けた者が貸付金貸付けの目的以外の目的に使用したとき

4 貸付金に係る住宅、土地その他の不動産、借地権を他人に譲渡したとき

5 貸付金に係る住宅が貸付けの際定められた用途以外の用途に供せられたとき

6 貸付けを受けた者が正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき等。

上記により貸付金の償還を請求したにもかかわらず,償還をなすべき者が償還を怠った場合,公庫は,当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行することになります。(住宅金融公庫法21条の4・4項)

●住宅金融公庫法34条1項
(貸付金の使途の規正)
第34条
 貸付を受けた者は、貸付金を貸付の目的以外の目的に使用してはならない。

2  公庫は、貸付金が貸付けの目的以外の目的に使用されることを防止するために、必要に応じて、貸付金をもつて建設し、若しくは改良を行う住宅、幼稚園等、関連利便施設、災害復興住宅、地すべり等関連住宅若しくは合理的土地利用耐火建築物等の工事施行者又は貸付金をもつて造成する土地、貸付金をもつて整備する関連公共施設若しくは貸付金をもつて行う宅地防災工事の工事施行者に対し、直接に資金を交付する等資金の交付に関し適切な措置をとることができる。

4.「住宅金融公庫の住宅〔中高層耐火建築物内のものを除く。〕の建設に係る貸付金の最長償還期間は,耐火構造,準耐火構造又は木造 (耐久性基準に適合するもの) とも,同一ではない。」

【正解:×昭和58年,昭和62年,平成3年,平成10年,平成14年,

償還期間

 住宅の建設に係る貸付金の最長償還期間は,3階以上の中高層耐火建築物内の耐火構造の住宅の50年を除けば,それ以外は35年なので,<耐火構造,準耐火構造又は木造 (耐久性基準に適合するもの) とも,同一ではない>とする本肢は誤りです。

 貸付金の償還期間は,区分に応じて,下記のように定められています。(住宅金融公庫法・21条1項・表1項)

 3階以上の中高層耐火建築物内
 の耐火構造の住宅の建設・
 新築住宅の購入
 50年以内
 上記以外の住宅の建設・
 新築住宅の購入
 35年以内
 既存住宅の購入  25年以内

 主務省令で定める基準に該当する耐久性を
 有する住宅では,35年以内または30年以内 


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