税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成10年・問49 


宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち,不当景品類及び不当表示防止法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成10年・問49)

1.「分譲共同住宅の広告について,広告スペースの関係からすべての住宅の価格を表示することが困難であるときは,最低価格,最高価格,最多価格帯を,それらの戸数やその価格区分を明らかにして表示してあれば,不当表示となることはない。〔販売物件数は10以上とする。〕」

2.「建築基準法第42条に規定する道路に適法に接していない宅地を販売するときは,「道路位置指定無」と表示していれば,「再建築不可」又は「建築不可」の表示をしていなくても,不当表示となることはない。」

3.「売約済みの物件の広告を行い,顧客に対しては別の物件を勧めたとしても,売約済みの物件が実際に存在するのであれば,不当表示となることはない。」

4.「窓その他の開口部が建築基準法第28条 (居室の採光及び換気) の規定に適合しない納戸について,その床面積が一定規模以上であるときは,居室として表示しても,不当表示となることはない。」

【正解】

× × ×

1.「分譲共同住宅の広告について,広告スペースの関係からすべての住宅の価格を表示することが困難であるときは,最低価格,最高価格,最多価格帯を,それらの戸数やその価格区分を明らかにして表示してあれば,不当表示となることはない。〔販売物件数は10以上とする。〕」

【正解:平成3年,平成10年,平成14年,

◆最低価格・最高価格・最多価格帯・最多価格帯に属する戸数

 本肢の記述の通りです。

 すべての住戸の価格を示すことが困難であるときは,1戸当たりの最低価格,最高価格,最多価格帯,その価格帯に属する住戸の戸数を表示しなければなりません(この場合,販売戸数が10戸未満のときは,最多価格帯の表示を省略することができます。)。(表示に関する公正競争規約施行規則・11条39号)⇒ (出題) 平成3年,平成10年,平成14年,

2.「建築基準法第42条に規定する道路に適法に接していない宅地を販売するときは,「道路位置指定無」と表示していれば,「再建築不可」又は「建築不可」の表示をしていなくても,不当表示となることはない。」

【正解:×平成3年,平成10年,

◆道路に2m以上接していない土地

 建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については,「再建築不可」又は「建築不可」と表示しなければいけません。このため,本肢は誤りです。

●不動産の表示に関する公正競争規約施行規則
(特定事項の明示義務)
第9条 規約第13条(特定事項の明示事項)に規定する規則で定める「特定事項」は、次の各号に掲げる事項とし、それぞれ当該各号に定めるところにより表示する。

(1) 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地(同法第29条に規定する開発許可を受けているもの及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものを除く。)については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示すること。

 ただし、新聞・雑誌広告における文字の大きさについては、この限りでない。

(2) 建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。ただし、同法第43条第1項ただし書の許可を受けることができることとなる場合において、その旨を表示するときは、この限りでない。

(3) 建築基準法第40条の規定に基づく地方公共団体の条例により附加された敷地の形態に対する制限に適合しない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。

(4) 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、その旨及びその面積を明示すること。

(5) 建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。

(6) 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すること。

3.「売約済みの物件の広告を行い,顧客に対しては別の物件を勧めたとしても,売約済みの物件が実際に存在するのであれば,不当表示となることはない。」♯

【正解:×昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年,

◆おとり広告−売約済みの物件−

 実際には取引できない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。

表示に関する公正競争規約

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

4.「窓その他の開口部が建築基準法第28条 (居室の採光及び換気) の規定に適合しない納戸について,その床面積が一定規模以上であるときは,居室として表示しても,不当表示となることはない。」

【正解:×平成元年,10年,

◆建築基準法で居室として認められない納戸は居室として表示できない

 建築基準法の規定に適合していない納戸は,床面積に関係なく,居室として表示することはできません。

早トチリの人を落とすための問題

 「建築基準法の規定に適合していない」とは,建築基準法上,『採光及び換気のための窓その他の開口部の面積』『当該室の床面積』に対する割合が建築基準法の居室の規定に適合していないということです。

 建築基準法では,開口部で採光に有効な部分の面積は,居室の床面積に対して住宅では原則として1/7以上開口部で換気に有効な部分の面積は原則として1/20以上になっています。

 この問題からは,『何かメンドクサイな。要はその部屋の床面積が広ければ文句ないんだろ』と勘違いしている人を落とそうという出題者の狙いが感じられます。〔部屋の床面積の大きさではなく,開口部の『採光や換気に有効な部分』の面積が床面積に対する割合が規定以上なければならない。〕

表示に関する公正競争規約

 (その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔建物の間取り・用途〕
(9) 建物の間取りについて、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

(10) 建築基準法(昭和25年法律第201号)上の居室に該当しない部屋について、居室であると誤認されるおそれのある表示

(11) 店舗向き、住宅向きその他物件の用途・利用方法について、実際のものよりも優良又は有利であると誤認されるおそれのある表示

〔物件の形質〕
(19) 建物の保温・断熱性、遮音性、健康・安全性その他の居住性能について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

〔環境等〕
(38) 物件の採光、通風、日照、眺望等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

(39) 物件の周囲の静寂さ、快適さ等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

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