税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成12年・問47 


不当景品類及び不当表示防止法 (以下この問において「景品表示法」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成12年・問47)

1.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において販売する物件の最寄駅の表示を行う場合で,新設予定駅の方が現に利用できる最寄駅より近いときは,鉄道会社が駅の新設を公表したものであれば,現に利用できる駅に代えて新設予定駅を表示することができる。」

2.「懸賞によらないで提供する景品類の最高額は,景品表示法に基づき,一般的には,取引価額の10分の1の範囲内と定められているが,不動産業においては,取引価額の10分の1又は50万円のいずれか低い金額の範囲内と定められている。」

3.「宅地建物取引業者は,宅地の造成工事の完了前において宅地の販売広告を行う場合で,宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分のほか,地方公共団体の条例に規定する確認等の処分が必要なときは,これを受けた後でなければ広告することはできない。」

4.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において販売済みの物件を掲載した場合で,そのことにつき故意や過失がないときは,景品表示法上の不当表示になるおそれはない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において販売する物件の最寄駅の表示を行う場合で,新設予定駅の方が現に利用できる最寄駅より近いときは,鉄道会社が駅の新設を公表したものであれば,現に利用できる駅に代えて新設予定駅を表示することができる。」

【正解:×平成元年,平成7年,平成12年,平成14年,

◆公共交通機関・新設予定の駅

 電車・バス等の交通機関は,現に利用できるものを表示します。

 新設予定の駅は,当該路線の運行主体が公表したものに限り,その新設予定時期を明らかにして表示することができますが,路線の新設は,現に利用できるものと併せて表示する場合に限り,国土交通大臣の許可処分等を明示して表示することができるのであって,現に利用できる駅に代えて新設予定駅を表示することができるのではありません。

表示に関する公正競争規約・施行規則

(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

(4)  公共交通機関は、現に利用できるものを表示し、特定の時期にのみ利用できるものは、その利用できる時期を明示して表示すること。ただし、新設の路線については、現に利用できるものと併せて表示する場合に限り、路線の新設に係る国土交通大臣の許可処分又はバス会社等との間に成立している協定の内容を明示して表示することができる

(5) 新設予定の鉄道、都市モノレールの駅若しくは路面電車の停留場(以下「駅等」という。)又はバスの停留所は、当該路線の運行主体が公表したものに限り、その新設予定時期を明示して表示することができる。

2.「懸賞によらないで提供する景品類の最高額は,景品表示法に基づき,一般的には,取引価額の10分の1の範囲内と定められているが,不動産業においては,取引価額の10分の1又は50万円のいずれか低い金額の範囲内と定められている。」

【正解:×昭和57年,昭和59年,平成5年,平成6年,平成12年,

◆懸賞によらないで提供する景品類

 懸賞によらないで提供する景品類の最高額は,不動産業の場合は,取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い金額の範囲内と定められています。(景品に関する公正競争規約・3条1項2号)

 したがって,「取引価額の10分の1又は50万円のいずれか低い金額の範囲内」とする本肢は誤りです。

●不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約
(一般消費者に対する景品類の提供の制限)

第3条 事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。

(1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。

(2) 懸賞によらないで提供する景品類にあっては、取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い価額の範囲

2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、懸賞によらないで提供するときは、前項の規定を適用しない

(1) 不動産の取引又は使用のため必要な物品便益その他の経済上の利益であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

(2) 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

3 第1項第1号の規定にかかわらず、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第4項の規定(共同懸賞)に該当する景品類の提供については、同項の定めるところによるものとする。

3.「宅地建物取引業者は,宅地の造成工事の完了前において宅地の販売広告を行う場合で,宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分のほか,地方公共団体の条例に規定する確認等の処分が必要なときは,これを受けた後でなければ広告することはできない。」

【正解:平成12年,平成15年,

◆広告の開始時期

 宅地建物取引業者は,宅地の造成工事の完了前または建物の建築工事の完了前は,宅地建物取引業法第33条に規定する許可等の処分のほか,地方公共団体の条例に規定する確認等の処分が必要なときは,これを受けた後でなければ広告することができません。(表示に関する公正競争規約・5条)

●表示に関する公正競争規約
(広告等の開始時期の制限)
第5条 事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。

4.「宅地建物取引業者が,不動産の販売広告において販売済みの物件を掲載した場合で,そのことにつき故意や過失がないときは,景品表示法上の不当表示になるおそれはない。」

【正解:×昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年,

◆故意や過失がなくても,おとり広告−販売済みの物件−は許されない

 故意や過失がなくても,実際には取引できない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。

表示に関する公正競争規約

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1) 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示

(2) 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示

(3) 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

●おとり広告の定義 (不動産のおとり広告に関する表示,公正取引委員会告示,昭和55年4月12日)

 顧客を誘引する手段として行う広告で,以下のどれかに該当するもの。( )内は昭和55年6月9日の事務局長通達による運用基準−

存在しないために,実際には取引できない不動産についての表示

存在するが,実際には取引の対象になりえない不動産についての表示(売却済みの不動産,処分を委託されていない他人の不動産,重大な瑕疵があるため取引できないことが明らかな不動産)

存在するが,実際には取引する意思がない不動産についての表示(合理的な理由がないのに案内することを拒否する場合,表示した物件の難点をことさら指摘して取引に応ずることなく他の物件を勧める場合)

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