税法その他 実戦篇

住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 昭和54年  


住宅金融公庫の貸付に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和54年)

1.「住宅金融公庫は,住宅の改良〔増改築,修繕等〕に要する資金を貸し付けることができる。」

2.「住宅金融公庫は,自ら居住するため住宅を必要とする者に対し,土地または借地権の取得に必要な資金を住宅の建設資金に併せて貸し付けることができる。」

3.「貸付を受けた者が貸付金を貸付の目的外の目的に使用したときを除き,住宅金融公庫は貸付を受けた者に対し,繰上げ償還を請求することができない。」

4.「住宅金融公庫は,一般の金融機関が融資することを困難とする住宅建設のための長期低利資金を貸し付けることを主たる目的としている。」

【正解】

×

1.「住宅金融公庫は,住宅の改良〔増改築,修繕等〕に要する資金を貸し付けることができる。」

【正解:昭和54年,56年,58年,62年,

◆住宅の改良に要する資金の貸付

 住宅金融公庫は,住宅の改良〔増築,改築,修繕,模様替え等〕を行う者に対して,その改良に必要な資金を貸し付けることができます。(住宅金融公庫法・17条5項)

政策誘導型リフォーム(バリアフリー,省エネルギー,シックハウス対策,積雪地対応等),歴史・文化継承住宅工事,耐震改修工事も,このリフォーム融資の対象になっています。

既存住宅の購入に必要な資金とともに貸し付けることもできる。 

2.「住宅金融公庫は,自ら居住するため住宅を必要とする者に対し,土地または借地権の取得に必要な資金を住宅の建設資金に併せて貸し付けることができる。」

【正解:昭和54年,57年,59年,60年,63年,平成12年,16年,

◆土地・借地権の取得に必要な資金の貸付

 住宅金融公庫は,自ら居住するため又は親族の居住の用に供するために,住宅を必要とする者に対し,

 住宅の建設,新築住宅の購入,又は既存住宅の購入に付随して,新たに土地又は借地権の取得を必要とするときは,住宅の建設や住宅の購入に必要な資金に併せて,当該土地又は借地権の取得に必要な資金を貸し付けることができます。(住宅金融公庫法・17条2項1号)

 ただし,土地の購入資金のみを貸し付けたり,住宅の建設・購入資金よりも先に土地の購入資金の貸付をすることはできません。

3.「貸付を受けた者が貸付金を貸付の目的外の目的に使用したときを除き,住宅金融公庫は貸付を受けた者に対し,繰上げ償還を請求することができない。」

【正解:×昭和54年,61年,63年,平成2年,6年,8年,10年,14年,

◆繰上げ償還  

 本肢は,<貸付金を貸付の目的外の目的に使用したときには繰上げ償還を請求できるが,それ以外では請求できない>としているので,誤りです。「貸付金の目的外使用」のほかにも繰上げ償還を請求できるからです。

 住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還です。しかし,次のいずれかに該当する場合,住宅金融公庫は,貸付けを受けた者に対し,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができます。(住宅金融公庫法21条の4・3項)

1 貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかつたとき,又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。

2 貸付けを受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅、土地その他の不動産に係る租税その他の公課を滞納したとき。

3 貸付けを受けた者が貸付金貸付けの目的以外の目的に使用したとき

4 貸付金に係る住宅、土地その他の不動産、借地権を他人に譲渡したとき

5 貸付金に係る住宅が貸付けの際定められた用途以外の用途に供せられたとき

6 貸付けを受けた者が正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき等。

上記により貸付金の償還を請求したにもかかわらず,償還をなすべき者が償還を怠った場合,公庫は,当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行することになります。(住宅金融公庫法21条の4・4項)

●割賦償還以外の方法での返済
住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還ですが,別の方法によることもできます。

・賃貸住宅や分譲住宅の建設,宅地造成,相当の住宅部分を有する一定の耐火建築物の建設に必要な資金の貸付金の償還は、割賦償還の方法によらないことができる。(住宅金融公庫法21条の4第1項)

・公庫から貸付けを受けた者(包括承継人を含む。)は、貸付金の弁済期日が到来する前に、貸付金額の全部又は一部の償還をすることができる。(住宅金融公庫法21条の4第2項)

・マンションなどの一定の合理的土地利用耐火建築物等が過半の住宅部分を有しているもので建替え等に係るものについては,主務省令で定める年齢以上 (60歳以上) の高齢者が自ら居住する住宅部分に係るものの償還については,当該高齢者の死亡時に一括償還をする方法によることができます。(住宅金融公庫法21条の5,17条第11項・第12項,施行規則2条の18)

4.「住宅金融公庫は,一般の金融機関が融資することを困難とする住宅建設のための長期低利資金を貸し付けることを主たる目的としている。」

【正解:

◆住宅金融公庫の目的  

 住宅金融公庫の目的は,現在,下記のようなものがあります。この中で,ベースとなるものは本肢の内容です。

●住宅金融公庫の目的  (住宅金融公庫法・第1条)
国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入(住宅の用に供する土地又は借地権の取得及び土地の造成を含む。)に必要な資金について、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを自ら融通すること。

・産業労働者住宅資金融通法に基づき産業労働者住宅の建設に必要な資金融通すること。

相当の住宅部分を有する建築物で土地の合理的利用及び災害の防止に寄与するものの建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること。

・銀行その他一般の金融機関による融通を支援するための貸付債権の譲受け若しくは貸付債権を担保とする債券等に係る債務の保証を行うこと。

・住宅融資保険法に基づき金融機関の住宅建設等に必要な資金の貸付けにつき保険を行うこと。


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