税法その他 実戦篇
不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス
昭和57年・問35
不当景品類及び不当表示防止法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和57年・問35) |
1.「宅地建物取引業者が,建築基準法の規定により増改築ができない土地に建っている中古住宅の販売広告をするとき,その旨を表示しないと不当表示になる。」 |
2.「宅地建物取引業者は,市街化調整区域内にある土地の売買に関する広告をするときは,あらかじめ公正取引委員会の承諾を受けなければならない。」 |
3.「宅地建物取引業者が,宅地として利用できない現況有姿分譲地の取引について広告する場合,あたかも建物を建築して生活することができると誤認させる表示をすることはできない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,土地及び建物の売買にあたり,購入者に対して過大な景品類を提供できない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「宅地建物取引業者が,建築基準法の規定により増改築ができない土地に建っている中古住宅の販売広告をするとき,その旨を表示しないと不当表示になる。」 |
【正解:○】 ◆増改築ができない土地にある中古住宅 増改築ができない土地に建っている中古住宅の販売広告をするときに,その旨を表示しないで,実際よりも著しく優良または有利であると購入者を誤認させるものの場合は,不当表示になります。 |
●不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 |
(特定事項の明示義務) 第9条 規約第13条(特定事項の明示事項)に規定する規則で定める「特定事項」は、次の各号に掲げる事項とし、それぞれ当該各号に定めるところにより表示する。 (1) 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地(同法第29条に規定する開発許可を受けているもの及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものを除く。)については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示すること。 ただし、新聞・雑誌広告における文字の大きさについては、この限りでない。 (2) 建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については 、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。ただし、同法第43条第1項ただし書の許可を受けることができることとなる場合において、その旨を表示するときは、この限りでない。 (3) 建築基準法第40条の規定に基づく地方公共団体の条例により附加された敷地の形態に対する制限に適合しない土地については 、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。 (4) 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、その旨及びその面積を明示すること。 (5) 建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。 (6) 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すること。 |
2.「宅地建物取引業者は,市街化調整区域内にある土地の売買に関する広告をするときは,あらかじめ公正取引委員会の承諾を受けなければならない。」 |
【正解:×】昭和57年,昭和59年,平成11年, ◆市街化調整区域内の土地 表示に関する公正競争規約では,市街化調整区域内の土地の売買の広告については,開発許可を受けているものを除いて,「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と表示する義務があります。 しかし,市街化調整区域内にある土地の売買に関する広告をするときに,あらかじめ公正取引委員会の承諾を受ける必要はありません。
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3.「宅地建物取引業者が,宅地として利用できない現況有姿分譲地の取引について広告する場合,あたかも建物を建築して生活することができると誤認させる表示をすることはできない。」 |
【正解:○】 ◆宅地として利用できない土地 あたかも建物を建築して生活することができると誤認させる表示をすることは実際のものよりも著しく優良であると示すことになるので,不当表示になります。 ▼現況有姿分譲地の価格の表示(表示に関する公正競争規約施行規則11条37号) 現況有姿分譲地の価格については、分割可能最小面積を明示して、1平方メートル当たりの価格を表示すること。この場合において、1平方メートル当たりの価格が異なる土地があるときは、それぞれの面積を明示して、最低価格及び最高価格を表示すること。 |
●表示に関する公正競争規約施行規則での物件の種別 (3条) | |
分譲宅地 | 一団の土地を複数の区画に区分けして、その区画ごとに売買し又は
借地権(転借地権を含む。)を設定若しくは移転する住宅用地をいう。 |
売地 | 区分けしないで売買される住宅用地等 |
現況有姿分譲地 | 主として一団の土地を一定面積以上の区画に区分けして売買する山林、
原野等の土地であって、分譲宅地及び売地以外のものをいう。 |
貸地 | 区分けしないで借地権(転借地権を含む。)を設定又は移転する
住宅用地 |
4.「宅地建物取引業者は,土地及び建物の売買にあたり,購入者に対して過大な景品類を提供できない。」 |
【正解:○】昭和57年,昭和59年,平成5年,平成6年,平成12年, ◆過大な景品類の提供は禁止されている 景品公正競争規約では,宅建業者が提供できる景品類の範囲が定められていて一般消費者に対して過大な景品類を提供できないことになっています。 |
●不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約 |
(一般消費者に対する景品類の提供の制限) 第3条 事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。 (1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。 (2) 懸賞によらないで提供する景品類にあっては、取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い価額の範囲 2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、懸賞によらないで提供するときは、前項の規定を適用しない。 (1) 不動産の取引又は使用のため必要な物品、便益その他の経済上の利益であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの (2) 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの 3 第1項第1号の規定にかかわらず、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第4項の規定(共同懸賞)に該当する景品類の提供については、同項の定めるところによるものとする。 |
●景品類の制限と禁止 -景品表示法- |
(景品類の制限及び禁止)
第3条 公正取引委員会は、不当な顧客の誘引を防止するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。 |