税法その他 実戦篇
不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス
昭和58年・問35
不当景品類及び不当表示防止法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問35) |
1.「宅地建物取引業者は,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づく急傾斜地崩壊危険区域内において,傾斜度が30度以上の急傾斜地を含む宅地について販売広告をするときは,あたかも現状のままで住宅を建築することができると誤認させる表示をしてはならない。」 |
2.「宅地建物取引業者が,現実には存在しない貸室等取引不能な物件について広告すると不当表示となる。」 |
3.「宅地建物取引業者が,販売価格を超える額の抵当権が設定されその旨の登記もされている土地付住宅について販売広告をするときは,その旨を表示しないと不当表示になる。」 |
4.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した広告ビラ等により宅地建物の広告表示を行った場合には,当該宅地建物取引業者は不当景品類及び不当表示防止法の規制は受けない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「宅地建物取引業者は,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づく急傾斜地崩壊危険区域内において,傾斜度が30度以上の急傾斜地を含む宅地について販売広告をするときは,あたかも現状のままで住宅を建築することができると誤認させる表示をしてはならない。」 |
【正解:○】昭和58年,平成2年,平成8年,平成16年, ◆急傾斜地を含む宅地 表示に関する公正競争規約では,分譲マンションなどを除いて,『傾斜地の割合がおおむね30パーセント以上の場合』や『傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合』は,傾斜地を含む旨及び,傾斜地の割合またはその面積を明瞭に表示する義務があるとしています。(表示に関する公正競争規約・施行規則9条10号) したがって,現状のままで住宅を建築することができると誤認させる表示はしてはいけません。
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2.「宅地建物取引業者が,現実には存在しない貸室等取引不能な物件について広告すると不当表示となる。」 |
【正解:○】昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年, ◆おとり広告−現実には存在しない物件 宅建業法では,実在しない物件について広告することはおとり広告であり,誇大広告として禁止されています。(宅地建物取引業法・32条) 表示に関する公正競争規約でも,現実には存在しない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。
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3.「宅地建物取引業者が,販売価格を超える額の抵当権が設定されその旨の登記もされている土地付住宅について販売広告をするときは,その旨を表示しないと不当表示になる。」 |
【正解:○】 ◆販売価格を超える額の抵当権が設定されている土地付住宅 抵当権が設定されている物件を購入したときには,抵当権者が担保権の実行として競売をする可能性もあり,抵当権が設定されている旨を表示しなければ,実際よりも著しく優良または有利であると購入者を誤認させるものとして,不当表示になります。
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4.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した広告ビラ等により宅地建物の広告表示を行った場合には,当該宅地建物取引業者は不当景品類及び不当表示防止法の規制は受けない。」 |
【正解:×】昭和58年,昭和61年,平成7年, ◆広告の主体が規制対象になる 不当表示があった場合,誰がその広告を作成しようと,広告として表示している事業者が行為者として規制の対象になります。 したがって,「宅地建物取引業者は不当景品類及び不当表示防止法の規制は受けない」とする本肢は誤りです。 |
●表示に関する公正競争規約 |
(事業者の責務) 第2条 事業者は、不動産広告の社会性にかんがみ、深くその責任を自覚し、この規約を遵守することはもとより、社会的・経済的諸事情の変化に即応しつつ、常により適正な広告その他の表示をするよう努めなければならない。 (広告会社等の責務) |