税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

昭和59年・問32 


不当景品類及び不当表示防止法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和59年・問32)

1.「市街化調整区域内の土地の販売広告に,市街化調整区域内に所在することのみを表示し,建物を建築することができない旨表示しないと不当表示となるおそれがある。」

2.「不動産の販売広告に,銀行ローン等の金利についてアドオン方式による利率を記載すれば,実質利率を記載しなくても,不当表示となるおそれはない。」

3.「単に金融機関に対し融資のあっせんをする販売の広告に,ローン提携販売と表示することは不当表示となるおそれがある。」

4.「不動産を販売するにあたり,売主である宅地建物取引業者が住宅火災保険の損害保険料を負担することは,必ずしも景品類の提供の制限に該当しない。」

【正解】

×

1.「市街化調整区域内の土地の販売広告に,市街化調整区域内に所在することのみを表示し,建物を建築することができない旨表示しないと不当表示となるおそれがある。」

【正解:昭和57年,昭和59年,平成11年,

◆市街化調整区域内の土地

 表示に関する公正競争規約では,開発許可を受けているものなどを除き,「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と表示しなければいけません。

●不動産の表示に関する公正競争規約施行規則・9条1号
 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地(同法第29条に規定する開発許可を受けているもの及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものを除く。)については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示すること。

 ただし、新聞・雑誌広告における文字の大きさについては、この限りでない。

2.「不動産の販売広告に,銀行ローン等の金利についてアドオン方式による利率を記載すれば,実質利率を記載しなくても,不当表示となるおそれはない。」

【正解:昭和59年,平成5年,

◆ローンの条件について実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

 表示に関する公正競争規約では,ローンの条件について,実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示は禁止されています。

 アドオン方式による表示は見かけ上の金利が著しく低く見えるため,アドオン方式により金利を表示するときは必ず実質利率を付記するようにとの通達が出されたとがあります(建設省通達,昭和46.12.1)

表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔融資等の条件〕

(58) 割賦販売又は不動産ローンの条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

(59) ローン提携販売を行うものではないのに、ローン提携販売と誤認されるおそれのある表示

(60) 住宅金融公庫その他の公的機関の融資に係る条件について、実際のものよりも有利であると誤認されるおそれのある表示

●不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則11条
 (物件の内容・取引条件等に係る表示基準)
第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔住宅ローン等〕
(44) 住宅ローン(銀行その他の金融機関が行う物件の購入資金及びこれらの購入に付帯して必要とされる費用に係る金銭の貸借)については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 金融機関の名称若しくは商号又は都市銀行、地方銀行、信用金庫等の種類
イ 提携ローン又は紹介ローンの別
ウ 融資限度額
エ 借入金の利率及び利息を徴する方式(固定金利型、固定金利指定型、変動金利型、上限金利付変動金利型等の種別)又は返済例

(46) 住宅ローンの返済例を表示する場合において、ボーナス併用払のときは、1か月当たりの返済額の表示に続けて、ボーナス時に加算される返済額を明示すること。

3.「単に金融機関に対し融資のあっせんをする販売の広告に,ローン提携販売と表示することは不当表示となるおそれがある。」

【正解:

◆融資のあっせんだけなのに,ローン提携販売として表示

 単に『金融機関に対し融資のあっせんをするだけ』なのに,ローン提携販売として表示することは,実際のものよりも有利であると誤認させるおそれがあり,不当表示となるおそれがあります。

表示に関する公正競争規約

(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔融資等の条件〕
(59) ローン提携販売を行うものではないのに、ローン提携販売と誤認されるおそれのある表示

4.「不動産を販売するにあたり,売主である宅地建物取引業者が住宅火災保険の損害保険料を負担することは,必ずしも景品類の提供の制限に該当しない。」

【正解:昭和57年,昭和59年,平成5年,平成6年,平成12年,

◆損害保険料

 不動産を販売するにあたって住宅火災保険の損害保険料を負担することは,経済上の利益として,景品類に該当します。

 しかし,不動産の取引又は使用のため必要な物品便益その他の経済上の利益であって,正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば,必ずしも景品類の提供の制限に該当しません。

●不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約
(一般消費者に対する景品類の提供の制限)

第3条 事業者は、一般消費者に対し、次に掲げる範囲を超えて景品類を提供してはならない。

(1) 懸賞により提供する景品類にあっては、取引価額の20倍又は10万円のいずれか低い価額の範囲。ただし、この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内とする。

(2) 懸賞によらないで提供する景品類にあっては、取引価額の10分の1又は100万円のいずれか低い価額の範囲

2 次に掲げる経済上の利益については、景品類に該当する場合であっても、懸賞によらないで提供するときは、前項の規定を適用しない

(1) 不動産の取引又は使用のため必要な物品便益その他の経済上の利益であって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

(2) 開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの

3 第1項第1号の規定にかかわらず、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)第4項の規定(共同懸賞)に該当する景品類の提供については、同項の定めるところによるものとする。


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