税法その他 実戦篇
住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 昭和60年・問31
住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (昭和60年・問31) |
1.「住宅金融公庫は,宅地造成事業を行う者にも融資を行っている。」 |
2.「住宅金融公庫の融資は,住宅の建設及び購入に必要な資金の融資であるが,住宅の取得に付随した土地又は借地権の取得に必要な資金も融資している。」 |
3.「住宅金融公庫の融資を受けて建設した賃貸住宅については,その家賃設定に当たっては上限額に一定の制限があるが,賃借人の資格には何ら制限がない。」 |
4.「住宅金融公庫の融資を受けて購入した住宅を,第三者に事務所として賃貸することはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「住宅金融公庫は,宅地造成事業を行う者にも融資を行っている。」 |
【正解:○】昭和52年,60年,61年,63年,平成2年,12年, ◆宅地造成に必要な資金の貸付 住宅金融公庫は,土地を造成して,土地や借地権を譲渡する事業を行うものに対して, 土地の造成に必要な資金 (併せて,住宅の用に供する土地・借地権の取得に必要な資金も) の貸付けの業務を行います。 この貸付は,会社その他の法人,これらの事業を行う地方公共団体,「土地区画整理法」による土地区画整理事業を行う者,「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」による住宅街区整備事業を行う者に対して,行います。(住宅金融公庫法・17条4項) |
2.「住宅金融公庫の融資は,住宅の建設及び購入に必要な資金の融資であるが,住宅の取得に付随した土地又は借地権の取得に必要な資金も融資している。」 |
【正解:○】昭和54年,57年,59年,60年,63年,平成12年,16年, ◆土地・借地権の取得に必要な資金の貸付 住宅金融公庫は,自ら居住するため又は親族の居住の用に供するために,住宅を必要とする者に対し, 住宅の建設,新築住宅の購入,又は既存住宅の購入に付随して,新たに土地又は借地権の取得を必要とするときは,住宅の建設や住宅の購入に必要な資金に併せて,当該土地又は借地権の取得に必要な資金を貸し付けることができます。(住宅金融公庫法・17条2項1号) ただし,土地の購入資金のみを貸し付けたり,住宅の建設・購入資金よりも先に土地の購入資金の貸付をすることはできません。 |
3.「住宅金融公庫の融資を受けて建設した賃貸住宅については,その家賃設定に当たっては上限額に一定の制限があるが,賃借人の資格には何ら制限がない。」 |
【正解:×】昭和60年,62年,平成9年,13年, ◆賃借人の資格,家賃 家賃は「主務大臣が定める額」を超えることはできず,また,賃借人の資格も「主務省令で定める基準」があるので,本肢は誤りです。
(住宅金融公庫法・35条・1項,2項,住宅金融公庫法施行規則・10条・1項) |
●住宅金融公庫法施行規則 |
(賃借人の資格) 第4条 法第17条第1項 の規定による貸付けを受けた者で同項第三号 の規定に該当するもの(包括承継人を含む。以下「賃貸人」という。)のうち当該貸付金に係る住宅を同号 イに掲げる者に対し賃貸する者(以下「一般賃貸人」という。)が賃貸する当該住宅の賃借人は、次の各号に該当する者でなければならない。 一 現に住宅に困窮している者 2 一般賃貸人は、前項各号に定めるほか、賃借人を次の各号の一に該当する者に限ることができる。 一 同居しようとする親族を有する者 3 一般賃貸人は、特別の事情がある場合においては、前二項各号に定めるほか、主務大臣の承認を得て、賃借人の資格を定めることができる。 第4条の2 賃貸人のうち法第17条第1項 の規定による貸付金に係る住宅を同項第三号 ロに掲げる者に対し賃貸する者(以下「特別賃貸人」という。)が賃貸する当該住宅の賃借人は、住宅を賃貸する事業を行うために必要な資力及び信用並びにこれを的確に行うために必要な経験及び能力を有する者でなければならない。 (賃借人の募集) 2 前項の規定による募集の方法は、賃借の申込の期間の初日から起算して少くとも一週間前に、その賃貸する住宅の所在地において発行部数の多い新聞紙に掲載し、又はこれに代るべき相当な方法により広告して行わなければならない。 第6条 前条の規定による募集は、各棟ごとに又は各団地ごとに、次に掲げる事項を示して、行わなければならない。 一 賃貸する住宅が公庫の貸付金に係る住宅であること。 2 前項第六号の申込の期間は、少くとも三日間としなければならない。 (賃借申込みの拒否の禁止) (賃借人の選定) (賃貸条件の制限) 2 賃貸人は、前項の規定にかかわらず、公庫が主務大臣の承認を得て定める賃貸の条件によることができる。 3 賃貸人は、特別の事情がある場合においてやむを得ないときは、前二項の規定にかかわらず、主務大臣の承認を得て、賃貸の条件を別に定めることができる。 |
4.「住宅金融公庫の融資を受けて購入した住宅を,第三者に事務所として賃貸することはできない。」 |
【正解:○】関連・昭和63年・問32・肢3, ◆定められた用途以外はダメ 住宅金融公庫の融資を受けて購入した住宅を,第三者に事務所として賃貸することは,定められた用途外の用途に供することを意味します。 住宅金融公庫は,<貸付金に係る住宅が貸付けの際定められた用途以外の用途に供せられたとき >は, 貸付けを受けた者に対し,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができます。(住宅金融公庫法21条の4第3項5号) ▼貸付金を貸付けの目的以外の目的に使用する場合も禁止されており,目的外使用のときも繰上げ償還を請求することができます。(住宅金融公庫法・34条・1項,21条の4第3項3号) |