税法その他 実戦篇
不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス
昭和61年・問31
不当景品及び不当表示防止法〔以下この問において「景品表示法」という。〕に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和61年・問31) |
1.「宅地建物取引業者が,不動産取引について,自ら広告した物件に関する難点をことさらに指摘する等して当該物件の取引に応じることなく顧客に他の物件を勧めた場合,当該広告の表示は不当表示となる。」 |
2.「景品表示法は,表示された事項を対象にその内容の適否を判断するので,宅地建物取引業者が自ら広告をした宅地が高圧線下にあり電力会社の地役権が設定されているため住宅が建てられない場合,その旨を表示しなくても責任を問われることはない。」 |
3.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した不動産広告ビラといえども,その内容が景品表示法に抵触するものであれば,同法の責任を問われることになる。」 |
4.「宅地建物取引業者は,中古住宅の販売広告において建築経過年数を当該住宅の一部増築を行った年から起算して表示することはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「宅地建物取引業者が,不動産取引について,自ら広告した物件に関する難点をことさらに指摘する等して当該物件の取引に応じることなく顧客に他の物件を勧めた場合,当該広告の表示は不当表示となる。」 |
【正解:○】昭和58年,61年,平成元年,5年,8年,10年,11年,12年, ◆おとり広告−取引する意思のない物件 宅建業法では,取引する意思がない不動産についておとり広告をすることは,誇大広告として禁止されています。(宅地建物取引業法・32条) 表示に関する公正競争規約でも,取引する意思がない不動産について,取引できると誤認させるおそれのある表示は『おとり広告』として禁止されています。
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2.「景品表示法は,表示された事項を対象にその内容の適否を判断するので,宅地建物取引業者が自ら広告をした宅地が高圧線下にあり電力会社の地役権が設定されているため住宅が建てられない場合,その旨を表示しなくても責任を問われることはない。」 |
【正解:×】昭和61年,平成3年,平成7年,平成14年, ◆第三者の地役権が設定されている場合 第三者の地上権,地役権,賃借権,入会権その他が設定されている場合,住宅が建てられるとしても,不動産の利用を制限する権利があることに変わりはないので,表示しなければ責任を問われます(表示規約・23条31号)。 また,高圧電線路下にある場合は,高圧電線路下にある旨とその面積,建築が禁止されているときはその旨を表示しなければいけません。(表示規約・施行規則・9条8号)
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●表示に関する公正競争規約 (その他の不当表示) 〔利用の制限〕 (29) 土地の区画、形質の変更に関する都市計画法、自然公園法その他の法律による制限に係る事項について、実際のものよりも緩やかであると誤認されるおそれのある表示 (30) 建ぺい率その他建物の建築に関する建築基準法、都市計画法その他の法律による制限に係る事項について、事実に相違する表示又は実際のものよりも緩やかであると誤認されるおそれのある表示 (31) 第三者の所有権、地上権、地役権、賃借権、入会権その他物件の利用を制限する権利の内容に関する事項について、実際のものよりも取引の相手方に有利であると誤認されるおそれのある表示 |
3.「宅地建物取引業者が,広告代理業者に委託して作成した不動産広告ビラといえども,その内容が景品表示法に抵触するものであれば,同法の責任を問われることになる。」 |
【正解:○】昭和58年,昭和61年,平成7年, ◆広告の主体が規制対象になる 広告が景品表示法に抵触する場合,誰がその広告を作成しようと,広告として表示している事業者が行為者として,景品表示法上の責任を問われます。 |
●表示規約 |
(事業者の責務) 第2条 事業者は、不動産広告の社会性にかんがみ、深くその責任を自覚し、この規約を遵守することはもとより、社会的・経済的諸事情の変化に即応しつつ、常により適正な広告その他の表示をするよう努めなければならない。 (広告会社等の責務) |
4.「宅地建物取引業者は,中古住宅の販売広告において建築経過年数を当該住宅の一部増築を行った年から起算して表示することはできない。」 |
【正解:○】昭和61年,平成6年, ◆建築経過年数の起算 以下のものは,表示に関する公正競争規約で禁止されています(表示規約・23条18号,21号)。 「建物の建築経過年数又は建築年月について、実際のものよりも経過年数が短い又は建築年月が新しいと誤認されるおそれのある表示」 「増築、改築又は造作の取替えをした建物について、当該建物の全部又は取引しようとする部分が新築したものであると誤認されるおそれのある表示」 建築経過年数を当該住宅の一部増築を行った年から起算して表示することはできません。
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