税法その他 実戦篇
建物の過去問アーカイブス 昭和63年・問1 木造建築物の構造
建築物の構造方法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和63年・問1) |
1.「鉄筋コンクリート造の建築物に使用するコンクリートの材料は,鉄筋をさびさせ,又はコンクリート造の凝結及び硬化を妨げるような酸,塩,有機物又は泥土を含んではならない。」 |
2.「階数が2である木造の建築物に関する設計図書の作成にあたっては,構造計算によって,その構造が安全であることを確かめなければならない。」 |
3.「組積造(補強コンクリートブロック造を除く。)の塀の高さは, 1.8m以下としなければならない。」 |
4.「高さ1 m以上の階段にあっては,必ず手すりを設けなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「鉄筋コンクリート造の建築物に使用するコンクリートの材料は,鉄筋をさびさせ,又はコンクリート造の凝結及び硬化を妨げるような酸,塩,有機物又は泥土を含んではならない。」 |
【正解:○】 ◆コンクリートの材料 鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの材料については建築基準法施行令で定められています。本肢は,施行令72条1号そのままの出題です。⇒施行令72条参照 ●建築基準法施行令 建築物は,安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合していなければなりません(建築基準法20条1号)。 この技術的基準は,施行令の第3章構造強度で,構造部材・木造・組積造・補強コンクリートブロック造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・構造計算について定められています。 宅建試験での建物の出題はこの施行令からの出題が最も多いのですが,全てを見ることは不可能に近いので,出題されたものを見ておくだけで十分でしょう。 |
●建築基準法施行令 |
(コンクリートの材料) 第72条 鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの材料は、次の各号に定めるところによらなければならない。 一 骨材、水及び混和材料は、鉄筋をさびさせ、又はコンクリートの凝結及び硬化を妨げるような酸、塩、有機物又は泥土を含まないこと。 二 骨材は、鉄筋相互間及び鉄筋とせき板との間を容易に通る大きさであること。 三 骨材は、適切な粒度及び粒形のもので、かつ、当該コンクリートに必要な強度、耐久性及び耐火性が得られるものであること。 |
2.「階数が2である木造の建築物に関する設計図書の作成にあたっては,構造計算によって,その構造が安全であることを確かめなければならない。」 |
【正解:×】 ◆構造計算が必要な建築物 政令で定める構造計算が必要なのは,以下のものです(建築基準法20条1号)。。単に<階数が2である木造の建築物>というだけでは,a) ,c) に該当するかどうかはわからないので,<必ず構造計算によって安全であることを確かめなければならない。>とは言えません。 a) 木造の建築物で,地階を含む階数が3以上,延べ面積が500平方メートル超,高さが13メートル超,軒高が9メートル超のいずれかであるもの b) 木造以外の建築物で地階を含む階数が2以上,または延べ面積が200平方メートル超 c) 高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物で,その主要構造部(床,屋根及び階段を除く。)を石造,れんが造,コンクリートブロック造,無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの |
●建築基準法20条 |
(構造耐力) 第二十条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。 一 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。 二 次に掲げる建築物にあつては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。 イ 第6条第1項第2号又は第3号に掲げる建築物 ロ イに掲げるもののほか、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの |
3.「組積造(補強コンクリートブロック造を除く。)の塀の高さは, 1.8m以下としなければならない。」 |
【正解:×】 ◆組積造 誤 : 1.8m以下 ⇒ 正 : 1.2m以下 この肢も組積造についての施行令の規定からの出題です(建築基準法施行令61条1号)。 |
●建築基準法施行令 |
(組積造のへい) 第61条 組積造のへいは、次の各号に定めるところによらなければならない。 一 高さは、1.2メートル以下とすること。 二 各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上とすること。 三 長さ4メートル以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。ただし、その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの1.5倍以上ある場合においては、この限りでない。 四 基礎の根入れの深さは、20センチメートル以上とすること。 |
4.「高さ1 m以上の階段にあっては,必ず手すりを設けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆階段等の手すり 手すりを設けなければならないのは,高さが1mを超える階段で(建築基準法施行令25条4号),かつ,その両側に側壁又はこれに代わるものを設けていない場合(建築基準法施行令25条2号)ですから,本肢は誤りです。 |
●建築基準法施行令 |
(階段等の手すり等) 第25条 階段には、手すりを設けなければならない。 2 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。 3 階段の幅が3メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが15センチメートル以下で、かつ、踏面が30センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。 4 前三項の規定は、高さ1メートル以下の階段の部分には、適用しない。 |