宅建過去問 権利の変動篇
区分所有法の過去問アーカイブス 平成19年・問15 規約の保管,規約の設定
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成19年・問15) |
1 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。 |
2 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、建物の共用部分を定める規約を設定することができる。 |
3 規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。 |
4 規約の保管場所は、各区分所有者に通知するとともに、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 |
ガイド | 規約の保管者,規約共用部分の定め,規約の閲覧,規約の保管場所, |
<コメント> |
規約については頻出問題でありながら,正答率が低くなっています。ただし,受験者に要求しているレベルを逸脱しているとはいえないので,単に学習不足によるものと思われます。再び出題された場合,正答率は高いでしょう。 |
●出題論点● |
(肢1) 規約は誰が保管するか
(肢2) 最初に専有部分の全部を所有するものは,公正証書により,規約共用部分を定める規約を定めることができる。 (肢3) 規約を保管する者は,利害関係人の請求があったときは,正当な理由がない限り,規約の閲覧を拒んではならない。 (肢4) 規約の保管場所は,建物内の見やすい場所に掲示しなければならないが,各区分所有者に通知する必要はない。 |
【正解】4
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
正答率 | 28.6% |
1 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。 |
【正解:○】 規約は,原則として,管理者〔管理組合法人では,理事〕が保管します(区分所有法33条1項,47条12項)。 ただし,管理者がないときは,「建物を使用している区分所有者又はその代理人」で,「規約又は集会の決議で定められたもの」が保管しなければなりません。 ●註 <管理者がないとき>・・・1) 管理者をもともと置いていない場合,2) 管理者の解任・辞任などによりいない場合, が該当する。 <その代理人>・・・ 区分所有者の代理人。建物を使用していなければならない。このため,専有部分の賃借人や区分所有者と同居している者が該当する。 |
2 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、建物の共用部分を定める規約を設定することができる。 |
【正解:○】 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は,公正証書により,以下を規約で定めることができます(区分所有法32条1項,47条12項)。 ・規約による共用部分〔建物の部分または附属の建物〕を定める規約(4条2項), ・規約による建物の敷地〔庭,通路その他の部分〕(5条1項), ・専有部分と敷地利用権を分離処分できること(22条1項但書), ・区分所有者が複数の専有部分を所有している者の敷地利用権を,専有部分の床面積の割合によらずに定めること(22条2項但書), ●註 <建物の共用部分を定める規約を設定する>・・・この場合は,法定共用部分ではなく,規約共用部分を定めることをいう。 |
3 規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。 |
【正解:○】 規約を保管する者は,利害関係人の請求があったときは,正当な理由がない場合,規約の閲覧を拒むことはできません(区分所有法33条2項)。 ●註 <利害関係人>・・・区分所有者,専有部分の賃借人,区分所有権を取得しようとする者,専有部分を賃借しようとする者,区分所有者の団体・管理組合法人に対して債権を有し,または取引しようとしている者〔管理を受託する管理会社〕,専有部分について担保権(抵当権など)を有する者または設定しようとする者, <正当な理由として閲覧を拒むことができるもの>・・・1)管理者が管理業務をする日時以外の要求,2)閲覧請求権の濫用〔意味のない重複請求〕 |
4 規約の保管場所は、各区分所有者に通知するとともに、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 |
【正解:×】 規約の保管者は,規約の保管場所は,区分所有者や利害関係人が容易にわかるように,建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(区分所有法33条3項)。 規約の保管場所を,各区分所有者に通知しなければならないという規定はありません。 なお,規約の保管場所を,各区分所有者に通知すれば,建物内の見やすい場所に掲示しなくてもよいということにはなりません。 ●註 <利害関係人>・・・区分所有者,専有部分の賃借人,区分所有権を取得しようとする者,専有部分を賃借しようとする者,区分所有者の団体・管理組合法人に対して債権を有し,または取引しようとしている者〔管理を受託する管理会社〕,専有部分について担保権(抵当権など)を有する者または設定しようとする者, |
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