宅建過去問 権利の変動篇
区分所有法の過去問アーカイブス 平成20年・問15 管理者
集会の招集権者,招集手続の省略,管理者の選任と解任,規約の保管場所
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成20年・問15) |
1 管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。 |
2 集会は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。 |
3 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。 |
4 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。 |
ガイド | 集会の招集権者,招集手続の省略,管理者の選任と解任,規約の保管者, |
<コメント> |
区分所有法の出題範囲が限られているのに,正答率が低いのは,学習不足によるものと思われます。
肢4は平成19年出題の肢に手を加えたものですが,「理事会の決議」を見落とした方は迷ったことでしょう。これは明らかに,出題者の仕掛けたトラップ(罠)です。 |
●出題論点● |
(肢1) 集会の招集権者は,管理者,または,区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するもの
(肢2) 全員の合意があるときは,招集手続を省略できる (肢3) 管理者の選任と解任は,集会の決議または規約の定めによる (肢4) 規約の保管者は,建物内の見やすい場所に掲示する |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
正答率 | 52.2% |
1 管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。 |
【正解:×】平成10年・問13・肢1, 集会を招集する者の規定を扱った問題です(区分所有法34条1項,2項)。 ●管理者− 集会を,少なくとも年1回は招集しなければなりません。 ⇒ 本肢は,「少なくとも毎年2回集会を招集」としているので誤りです。 ●区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは,管理者に対し,集会の招集を請求することができます。 |
2 集会は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。 |
【正解:×】平成13年・問15・肢4, 集会は,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができます(区分所有法36条)。 この規定は,もともとは,区分所有者の数が少ない小規模のマンションを想定して作られたものですが〔小規模のマンションでは,たまたま全員が一堂に会することがあるし,また全員が集まっていなくても電話等の連絡で,即日招集を決めることができる〕,規模の大小に関係なく,適用されます。 |
3 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。 |
【正解:○】平成11年・問15・肢4, 区分所有者は,規約に別段の定めがない限り,集会の決議によって,管理者を選任し,または解任することができます(区分所有法25条1項)。 つまり,管理者は,「集会の決議」か,「規約の定め」によって,選任・解任されることになります。 <もう一歩前へ> 管理者解任の訴え |
4 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。 |
【正解:×】平成18年・問16・肢4,平成19年・問15・肢1, 規約は,原則として,管理者〔管理組合法人では,理事〕が保管します(区分所有法33条1項,47条12項)。 ただし,管理者がないときは,「建物を使用している区分所有者又はその代理人」で,「規約又は集会の決議で定められたもの」が保管しなければなりません。 本肢では,<(建物を使用している区分所有者・代理人のうち)理事会又は集会の決議で定めるもの>としているので,誤りです。 ●註 <管理者がないとき>・・・1) 管理者をもともと置いていない場合,2) 管理者の解任・辞任などによりいない場合, が該当する。 <その代理人>・・・ 区分所有者の代理人。建物を使用していなければならない。このため,専有部分の賃借人や区分所有者と同居している者が該当する。 |
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