宅建過去問 権利の変動篇
区分所有法の過去問アーカイブス 平成21年・問13
建物の区分所有等に関する法律 (以下この問において「法」という。) についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成21年・問13) |
1 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。また、招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示し、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。 |
2 法又は規約により集会において決議をすべき場合において、これに代わり書面による決議を行うことについて区分所有者が1人でも反対するときは、書面による決議をすることができない。 |
3 建替え決議を目的とする集会を招集するときは、会日より少なくとも2か月前に、招集通知を発しなければならない。ただし、この期間は規約で伸長することができる。 |
4 他の区分所有者から区分所有権を譲り受け、建物の専有部分の全部を所有することとなった者は、公正証書による規約の設定を行うことができる。 |
●正答率の推移
13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | |
正答率 | 30.5% | − | − | − | 31.1% | 43.5% | 28.6% | 52.2% | 21.0% |
<コメント> |
区分所有法の正答率は例年よくないのですが,21年はワースト記録になりました。肢4を区分所有建物の所有権保存登記の申請と勘違いした可能性はありますが,正答率が低かったのは,受験者が敬遠して学習不足だったためと思われます。
肢3は平成14年の改正によって追加されたもので初出題です。しかし,他の3肢については出題内容としては標準的であり,例年よりもむしろやさしかったはずなのですが。 |
●出題論点● |
(肢1) 集会の招集の通知は,会日より少なくとも1週間前に,各区分所有者に発しなければならないが,規約で伸縮することができる。
(肢2) 区分所有者全員の承諾があれば,書面による決議や電磁的方法による決議をすることができる。 (肢3) 建替え決議を目的とする集会の招集通知は,当該集会の会日より少なくとも2月前に発しなければならないが,この期間は,規約で伸長することができる。 (肢4) 一定事項〔規約共用部分,規約敷地,専有部分とその専有部分に係る敷地利用権の分離処分禁止,敷地利用権の割合〕について,公正証書による規約の設定を行うことができるのは,最初に建物の専有部分の全部を所有する者だけである。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
正答率 | 21.0% |
1 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない。また、招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示し、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。 |
【正解:○】平成18年・問16・肢1, 管理者は,少なくとも毎年1回集会を招集しなければなりません(区分所有法34条2項)。 集会の招集の通知は,会日より少なくとも1週間前に,会議の目的たる事項を示して,各区分所有者に発しなければなりませんが,この期間は,規約で伸縮することができます(区分所有法35条1項)。 ▼参考 招集手続の省略 集会は,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができる(区分所有法36条)。 |
2 法又は規約により集会において決議をすべき場合において、これに代わり書面による決議を行うことについて区分所有者が1人でも反対するときは、書面による決議をすることができない。 |
【正解:○】関連・昭和57年・問14・肢4, 区分所有法または規約により集会において決議をすべき場合に,区分所有者全員の承諾があれば,書面による決議や電磁的方法による決議をすることができます(区分所有法45条1項)。 したがって,1人でも反対があるときは,書面による決議や電磁的方法による決議をすることはできません。 |
3 建替え決議を目的とする集会を招集するときは、会日より少なくとも2か月前に、招集通知を発しなければならない。ただし、この期間は規約で伸長することができる。 |
【正解:○】初出題,平成14年の改正点 建替え決議を目的とする集会の招集通知は,当該集会の会日より少なくとも2月前※〔この期間は,規約で伸長することができる。〕に発しなければなりません。(区分所有法62条4項)。 ※建替えは区分所有者に相当な負担がかかる重大な事項なので,区分所有者が短期間でその賛否を決するのは困難であり,通常の集会の招集通知の発信時期よりも長くしました。 ただ,この建替え決議の場合も,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができます(区分所有法36条)。 |
4 他の区分所有者から区分所有権を譲り受け、建物の専有部分の全部を所有することとなった者は、公正証書による規約の設定を行うことができる。 |
【正解:×】昭和61年・問12・肢1,平成13年・問15・肢1, 一定事項〔規約共用部分,規約敷地,専有部分とその専有部分に係る敷地利用権の分離処分禁止,敷地利用権の割合〕について,公正証書による規約の設定を行うことができるのは,最初に建物の専有部分の全部を所有する者です (区分所有法32条)。 ⇒ これらについて第三者に対抗するには,その旨の登記が必要です。 他の区分所有者から区分所有権を譲り受け,建物の専有部分の全部を所有することになった者ではないので,本肢は誤りです。 |
1000本ノック・権利の変動篇・過去問で学ぶ区分所有法に戻る