宅建過去問 権利の変動篇
区分所有法の過去問アーカイブス 平成23年・問13 規約
建物の区分所有等に関する法律 (以下この問において「法」という。) についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成23年・問13) |
1 管理者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。 |
2 規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者の共用部分の持分は、その有する専有部分の壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積の割合による。 |
3 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない。 |
4 法又は規約により集会において決議すべきとされた事項であっても、区分所有者全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなされる。 |
●正答率の推移
13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | |
正答率 | 30.5% | − | − | − | 31.1% | 43.5% | 28.6% | 52.2% | 21.0% | 65.5% | 73.8% |
<コメント> |
肢3以外が受験者によく知られている知識であったため,消去法で,肢3の正誤の判断ができます。 |
●出題論点● |
(肢1) 規約の閲覧, (肢2) 共用部分の持分ー専有部分の床面積, (肢3) 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関しないもの, (肢4) 書面または電磁的方法による決議 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
正答率 | 73.8% |
1 管理者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。 |
【正解:○】 規約を保管する者(註1,註2)は,利害関係人(註3)の請求があったとき,正当な理由がある場合を除いて,規約の閲覧を拒むことはできません(区分所有法33条2項)。 |
註1 規約を保管する者
規約は,管理者がいるときは,管理者が保管します。管理者がいないときは,建物を使用している区分所有者またはその代理人で,規約または集会の決議で定めるものが保管します(区分所有法33条1項)。 註2 規約の保管場所の掲示 規約がどこに保管されているかを知らせるために,規約の保管場所は,建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(区分所有法33条3項)。 註3 利害関係人 区分所有者,専有部分を賃借している人(賃借人),抵当権者,管理組合の債権者のほかには,専有部分を売買で取得する予定の者およびその媒介・代理を依頼されている宅建業者など。 規約によってどんな制限があるかを知る必要のある人たちだと考えればよいでしょう。 |
2 規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者の共用部分の持分は、その有する専有部分の壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積の割合による。 |
【正解:○】 (規約で別段の定めがなければ,) 各共有者の持分は,その有する専有部分の床面積の割合によります。また,床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積によります(区分所有法14条1項,3項,4項)。 |
3 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない。 |
【正解:×】 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものも,区分所有者全員の規約に定めることができます(区分所有法30条2項)。 建物の管理を円滑に行えるようにするためです。 ●一部共用部分(の管理または使用)に関する事項
|
●条文確認 区分所有法30条2項 |
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる(区分所有法30条2項)。 ⇒ 上記の表の(ア)(イ)は,この条文(上記の表の(ウ))の前提とされています。 |
4 法又は規約により集会において決議すべきとされた事項であっても、区分所有者全員の書面による合意があったときは、書面による決議があったものとみなされる。 |
【正解:○】 区分所有法又は規約により集会において決議すべき事項について,区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは,書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなれます(区分所有法45条2項)。 また,書面又は電磁的方法による決議の効力は,集会の決議の効力と同一です(区分所有法45条3項)。 |
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