Brush Up! 権利の変動篇 借地借家法
借家権の過去問アーカイブス 昭和59年・問13
AはB所有の建物を賃借している。この場合,民法及び借地借家法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(昭和59年・問13) |
1.「Bからの解約申入れは3ヵ月前までに行うものとするという特約は,有効である。」 |
2.「一時使用のための建物を賃貸借したことが明らかな場合には,借地借家法は適用されない。」改 |
3.「賃貸借期間の定めのない場合,Aはいつでも解約の申入れをすることができるが,賃貸借が終了するのは申入れ後3ヵ月を経過したときである。」 |
4.「Bは自ら使用することを必要とする場合にのみ賃貸借の更新を拒むことができるという特約は,有効である。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「Bからの解約申入れは3ヵ月前までに行うものとするという特約は,有効である。」 |
【正解:×】 ◆賃貸人からの解約の申入れは6か月前 期間の定めのない建物の賃貸借では,賃貸人からの解約の申入れは,解約しようとする6ヵ月前までにしなければなりません。(27条1項)→特約で短縮することはできない。 ⇒ 賃貸人からの解約の申入れの場合,正当事由を備えたものでなければいけません。(28条) 賃借人からの解約の申入れは民法が適用され,特約がなければ解約しようとする3ヵ月前までにしなければなりません。(617条1項2号)→特約で短縮することができる。 したがって,<賃貸人Bからの解約の申入れは3ヵ月前までに行う>という特約は無効で,借地借家法の規定どおりに解約しようとする6ヵ月前までにしなければなりません。 |
2.「一時使用のための建物を賃貸借したことが明らかな場合には,借地借家法は適用されない。」改 |
【正解:○】 ◆一時使用のための建物の賃貸借 一時使用のための建物を賃貸借したことが明らかな場合には,借地借家法は適用されません。(40条) ▼建物の使用貸借の場合も借地借家法は適用されません。 |
●一時使用のための賃貸借の適用関係 | |
建物の一時使用のための賃貸借 | 民法が適用される。 |
建物所有を目的とした土地の一時使用のための賃貸借 | 民法+借地借家法 |
3.「賃貸借期間の定めのない場合,Aはいつでも解約の申入れをすることができるが,賃貸借が終了するのは申入れ後3ヵ月を経過したときである。」 |
【正解:○】 ◆賃借人からの解約の申入れは3ヵ月前 賃貸借期間の定めのない場合,賃貸人・賃借人ともいつでも解約の申入れをすることができるが,賃貸借が終了するのは申入れ後3ヵ月を経過したときである。 |
4.「Bは自ら使用することを必要とする場合にのみ賃貸借の更新を拒むことができるという特約は,有効である。」類・昭和62年・問13 |
【正解:○】 ◆正当事由 期間の定めのある建物の賃貸借で賃貸人が更新拒絶するとき〔期間の定めのない賃貸借では解約の申入れをするとき〕には正当事由が必要になります。(28条) この正当事由は,「賃貸人・賃借人が建物使用を必要とする事情」をメインに,「従前の経過」・「建物の利用状況」・「建物の現況」・「賃貸人の財産給付をする旨の申出」などを総合的に考慮して認められるものでなくてはいけません。 原題は旧・借家法当時に出題されたものであり,当時は<自ら使用することを必要とする場合に限り,賃貸借契約の更新の拒絶をすることができる>旨の特約は賃借人に特別に不利なものとは考えられていませんでした。 |