宅建試験
法改正情報 レポートNo.11 |
税法改正 (1)登録免許税法 |
平成15年4月1日から施行
登録免許税法・租税特別措置法が改正され、大幅に変わっています。基本書の
該当箇所を、早急に訂正しておいてください。改正前のもので覚えておくと危険です。
●登録免許税の改正点
(1) 登録免許税の、「土地の課税標準を1/3」にする、不動産登記に係る特例は、
適用期限の到来(〜平成15.3.31)により、廃止されました。
(2) 不動産登記に係る登録免許税の本則の税率を改正しました。
(3) 3年間(平成15.4.1〜平成18.3.31)の租税特別措置として、登録免許税の税率
を半減する緊急措置を講ずるものがあります。下記は、その主なものです。
□登記の内容 □恒久税率 □緊急措置(税率)
所有権の保存登記 固定資産評価額の 4/1000 2/1000
所有権の移転登記 固定資産評価額の 20/1000 10/1000
(売買、遺贈・贈与などその他無償名義)
所有権の移転登記 固定資産評価額の 4/1000 2/1000
(相続・合併、共有物の分割)
地上権等の設定 固定資産評価額の 10/1000 5/1000
(設定・転貸、売買等による移転)
地上権等の移転 固定資産評価額の 2/1000 1/1000
(売買以外の移転=相続、合併、共有に係る権利の分割)
(4) 仮登記
本登記が「不動産価額」を課税標準とする仮登記も、「0.6% or \1,000」から
本則、特例とも「本登記の1/2」に改正されました。
登記の種類・登記原因 | 改正前→ | 改正後の本則 | 緊急措置 | |
所有権の移転 | 売買等 | 0.6% | 本登記の1/2 | 本登記の1/2 |
相続,合併,共有物分割 | ||||
その他 | 1,000円 |
(5) 抵当権の設定の登録免許税は変わっていない。また、税率を半減する緊急措置も
とらない。(抵当権設定の課税標準は、不動産価額ではなく、被担保債権)
・住宅用家屋の軽減措置の1/1000は変わらない。 ・非住宅に係わる抵当権設定登記は、4/1000 ・土地に係わる抵当権設定登記は、4/1000 |
(6) これまでの住宅についての軽減税率は、平成17年3月31日まで延長。
(この軽減税率は家屋について適用され、土地については適用がありません。)
適用要件 |
● 個人が平成17年3月31日までに新築又は取得した、 ● 新築1年以内又は取得後1年以内に登記を受けるものであること。 ●平成15年4月1日以降は,相続や贈与で取得した住宅用家屋には適用されない。 |
●新築住宅 ○ 自己専用住宅で、床面積50平方メートル以上 ○ マンションなど区分所有のもの(一定の耐火性を有するもの)については、 |
●既存(中古)住宅 上記の新築住宅の床面積要件を満たした上で ・ 建築後住宅として使用された家屋 ・ 建築されてから20年以内の家屋 |
登記の内容 | 本則税率 | 住宅の軽減税率 |
所有権の保存登記 | 4/1000 | 1.5/1000 |
所有権の移転登記 | 20/1000 | 3/1000 |
抵当権の設定登記 | 4/1000 | 1/1000 |
(住宅の軽減税率は、以前と同じです。)
【ケーススタディ】法改正後のシュミレーション→これだけは覚えておきましょう |
●所有権の保存登記 住宅は、本則4/1000 → 住宅軽減税率 1.5/1000 (土地・非住宅は、本則4/1000 → 緊急措置の軽減税率 2/1000 ●所有権の移転登記(売買・遺贈・贈与など) 住宅は、本則20/1000 → 住宅軽減税率 3/1000 土地(非住宅)は、本則20/1000 → 緊急措置の軽減税率 10/1000 ●抵当権の設定登記 住宅への抵当権設定は、本則4/1000 → 住宅軽減税率 1/1000 土地(非住宅)への抵当権設定には、本則4/1000 で、緊急措置の軽減税率はない。 ☆抵当権設定には、3年間の緊急措置の軽減税率はなく、住宅への抵当権設定のみ |
=======□■□過去問例・1□■□============================================
登録免許税に係わる次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 所有権の保存の登記の税率は4/1000であるが,一定の住宅については1.5/1000に
軽減される。
2 所有権の移転の登記の税率は20/1000であるが,一定の住宅については3/1000に
軽減される。
3 抵当権の設定の登記の税率は4/1000であるが,住宅取得資金の貸付け等に係る
一定の場合には2/1000に軽減される。
4 他の者から購入した一定の住宅については,新築後1年を経過したものについて
も登録免許税の税率の軽減措置がある。 〔昭和59年・問31出題 : 改題〕
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【正解 : 3】
4 他の者から購入した → 自己の居住用に新築したのではなく、新築物件を購入。
新築後1年を過ぎていても、購入した場合は取得後1年以内であればよいので、
正しい。
なお、本問題は、「一定の場合には」となっているが、余りにも抽象的な表現で、
今後の出題では「一定の場合には」という表現は使われないものと思われる。
また、単に「所有権の移転の登記」では、どのような登記原因なのか不明瞭であり、
今後の出題ではもっとはっきりと明示していくものになると思われる。
=======□■□過去問例・2□■□============================================
次の税法上の優遇措置は○か×か。
2 一定の要件を満たした住宅の所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、
新築住宅にあっては2/1000, 既存住宅にあっては30/1000である。
〔昭和55年・問26・肢4出題〕
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【正解 : ×】
新築住宅・既存住宅と区別せずに、要件を満たした住宅については、登録免許税
の軽減税率は同じ。
住宅は、本則20/1000 → 住宅軽減税率 3/1000
■なお、最近の出題事例では、登録免許税の税率そのものの正誤を問う問題は
出題されていない。→「だから、もうそろそろ出る」ととるか、「出ない」ととるかはご自由に。
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